今日の午後、ロンドンのウェストミンスター・ブリッジと連合王国議会のあるウェストミンスター宮殿付近で、現在のところテロとして扱われている事件が発生した。容疑者は車でウェストミンスター・ブリッジで通行人をはねて、歩道に乗り上げたあと、車を降りて、ウェストミンスター宮殿に侵入を図り、ナイフで警察官を刺した。その後、容疑者は警察により射殺された。刺された警察官は殉職し、他にも死傷者が出た。どうやらこの容疑者の単独の犯行の模様。そして、ブリュッセルでのテロ事件から1年の日にあたる。
ひょっとしたら、その時間に友人や私自身「いたかもしれない」と思うような場所で、このような事件が起きると、胸が苦しい。昨年ニースやベルリンではトラックが凶器となったが、今回ロンドンでは自家用車が使われた。武器はナイフ。長く緻密な計画を必要としたり、調達しなければならない特殊な物はなく、誰でも簡単に入手できる物が、テロの道具となってしまった。このような突発的な、言わば「通り魔」のような、犯行を未然に防ぐのは、至難なことだろう。
ヨーロッパの他の都市でテロ事件が起きていて、過去にもIRAのテロや2005年7月7日に地下鉄・バスが爆破されたので、心の隅に「いつ起きてもおかしくはない」という覚悟があっても、実際に起きると、やはり気が滅入る。友人の安否を確認するまで不安だったし、知人でもないし会ったこともないが、同じ都市にいる人が亡くなったり負傷したので、心が痛む。これから数日、普段通りの生活の中でも、ロンドンには少し緊張した雰囲気が漂うことになるかもしれない。