日本各地の最高気温を見て、想像しただけで汗が噴き出して眩暈を起こしそうな気持ちに襲われる。こちら英国・ロンドンでもここ何週間か好天気が続いていて、最高気温が30度を超える日が何日もあった。ただしそれも30度代前半であり湿気はないので、日陰ならそう酷くはないし、眠りは浅くなるがそれでも夜も比較的涼しい。
英国の一般的な住居に冷房はないので、窓を開け放して風を通して涼を取る。外の芝生を見ると茶色の一面。もう1ヶ月以上まとまった雨は降っていない。
先日、窓を開けたところ、ちょろちょろとすばしこく動いているものが。暑苦しそうな毛皮を纏った東部灰色栗鼠だ。その名の通り毛は灰色で、英語で grey squirrel と呼ばれている。英国ではどこでも見かけるが外来種で、在来種のキタリス(英語では red squirrel つまりアカリス)をほぼ駆逐してしまった。キタリスは現在では主にスコットランドに生息している。
リスは愛嬌があるので、ついつい観察してしまう。地面を掘ったり、ぴょんぴょんぴょんと跳ねるように動いたり、木を登り降り。2匹のうち1匹がそそくさとどこかへ行った。1分もしないうちに戻ってきた。バゲット一切れを持って。誰かが鳥やリスの餌として出していたのだろう。まさか家に侵入して盗んだわけではないはず。リスの体の半分くらいの大きさだろうか、木の根元で大事そうに抱えて齧ったあと、ササッと木を登っていた。どこかに隠しに行ったのだろう。
リスは生きるために必死なのだろうが、私にとってこの光景は微笑ましい一服の清涼剤となった。