英語でクリスマスの翌日12月26日を Boxing Day と呼ぶ。19世紀の英国でクリスマス翌日に貧しい人たちや用達や使用人に休みを与えるとともに「クリスマス・ボックス」を渡した日だったためらしい。今はもっぱらクリスマスの暴飲暴食を消化する日だったり、セールが始まる日だったりする。ただオンラインでは年々クリスマス後のセールが早くなり、24日の夜には既に始まっていたサイトもあり、宣伝メールが何通も届いた。昨日はたいして飲みはしなかったが食べすぎたので、今日は午後4時を過ぎても空腹感がなく、ヨーグルトとみかんを数個食べた程度。
おじさんは自分が食べたものをネットに載せたがる生き物らしい。私はおじさんなので、例に洩れず昨日食べたものをあげると⋯⋯
クリスマスらしく七面鳥。図体が大きくて七面倒で、朝食も昼食も抜きで半日料理をしていた。長時間料理をしていると、その過程で食べたような気になってか食欲が減退することもあるが、今回はそんなことはなく、肉や野菜をおかわりした。それで今日はだらけた牛のように消化に努めている。
クリスマス・イブに七面鳥が見切りで安くなるが、売り切れる年もある。クリスマス前の1週間ほどどのスーパーでどれだけ在庫があるか見ていて、今年は「買えるだろう」と踏んでいた。そしてクリスマス・イブの午後に Waitrose というスーパーで半額になっていたほぼ4キログラム(正確には3990グラム)の七面鳥を買った。1人で消費するのはかなり厳しいが、残っていた七面鳥の中では最軽量だった。
ベーコンも見切りになっていたので買った。七面鳥を焼くときに必要。
このように七面鳥にベーコンを貼り付けるため。こうすると長時間調理しても七面鳥の肉がパサパサにならない。
数時間焼いて⋯⋯
焼き上がるのをただ待つだけではなく、その間にいろいろとしないといけないことが。一人暮らしでぐうたらなので普段はあまり凝った料理を作らないが、気合が入っていたためか、作らなくても良いものまで作った。この七面鳥に giblets がついてきた。英単語 giblets は「臓物」のことで、ハツやレバーなどがプラスチックの袋に入っていた。レバーは別にバターとブランデーで焼いたが、残りでソースに使うブイヨンを作った。臓物にエシャロットやハーブを入れて3時間ほど煮た。スーパーによって臓物がついてくるときとついてこない場合がある。
ソース用にブイヨンの他に赤ワインとポート・ワインを煮詰めた。赤ワインは格安スーパーの Lidl で一番安かった南アフリカ産。1本£3.89。試しに一口飲んでみたが、とてもワインとして楽しめるような代物ではなかった。ポート・ワインはそろそろ飲み切らないといけない時期になってもまだ残っていたもの。ボトルの約6分の1。
焼き上がった七面鳥の肉汁に小麦粉を足してルーにして、煮詰めた赤ワインとポート・ワインそしてブイヨンを徐々に加え、クランベリーとザクロとスマックを入れ、10分ほどぐつぐつ煮て完成。定番はクランベリー・ソースなのだが、アレンジとして少し中東風にザクロとスマックを入れてみたところ、砂糖を加える必要が全くなく、程よい酸味があるソースに仕上がったと自画自賛。
野菜は以前買ってまだ残っていたケールと見切りで安くなっていた芽キャベツを6分ほど煮て、じゃがいもは電子レンジで簡単に調理できる見切り品を選んだ。
肉や野菜のほとんどが見切り品で定価の半額かそれ以下だった。定価で買い揃えたらさすがに躊躇する金額になっただろう。クリスマス・イブにスーパーをはしごして、けちだけど比較的豪華なクリスマスの食事になった。
これから約4キログラムあった七面鳥を食べる日が続く⋯⋯。