ポーランド1:1ギリシャ
開催国ポーランドは勝利を目指すのか、それともとにかく負けないようなプレーをするのか、試合前は分からなかったが、開始早々から積極的なプレーで攻めた。一方、ギリシャと言えば、アンチ・サッカーなどとも呼ばれた強固な守備に、セット・プレーから得点機を狙う作戦が印象的だが、前半は守備陣がバラバラ。特に左が脆く、ポーランドに攻め込まれた。ポーランドには好機が続き、17分に Lewandowski 選手がヘッダーでゴールを決めた。そのまま前半はほぼポーランドが攻める展開。
2年前のワールド・カップでは、審判の判断が頻繁に話題となったが、どうやら今大会も、誤審や際どい審判が話題となりそうだ。これは、累計警告で Papastathopoulos 選手が前半終了間際に退場処分になったこと。両警告ともかなり厳しい審判、あるいは誤審と呼べるものだった。この時点では、おそらくポーランドの勝利だと思ったし、攻撃に冴えがなかったギリシャが後半にゴールを決めるとも思えなかった。
前半ではあまり試されなかったポーランドの守備だったが、後半、ギリシャが攻撃を仕掛けると、綻びがあった。そして10人となったギリシャだったが、後半開始時に投入された Salpingidis 選手のゴールで51分に同点とした。それもオープン・プレーから。10人体制となったギリシャの方が11人体制よりも良かった。続く69分には、ポーランドのキーパーの Szczęsny 選手が Salpingidis 選手に対するファウルで、退場に。これは明らかなファウルだった。でも PK は交代した Tytoń 選手の好セーブに阻まれ、得点とはならず、両チームとも10人体制で好機は数回あったが、だんだんとミスが目立つようになったまま試合終了となった。
前半はポーランド優勢。しかし、数多くあった好機で得点できなかったのが響いた。詰めが甘かった。一方、前半は守備にも攻撃にも精彩なかったギリシャだったが、後半は優勢だった。そのため、引き分けは妥当と言えば妥当な結果かもしれない。感想として、両チームとも粗雑なプレーが目立った。このような大会では、小さなミスが失点に繋がることを考えると、もっと組織的なチームが相手だと、ポーランドにしろギリシャにしろかなり手こずるかもしれない。
ロシア4:1チェコ
ロシア対チェコは観ていて面白かった。ゴールが多くあっただけではない。ポーランド対ギリシャの試合に比べると、組織面やパスの精度の差は歴然で、最初の試合だけで決めつけるのは、時期尚早だろうが、A組突破は順当であればロシアとチェコではないだろうか。
試合の最初の10分ほどはどちらかと言うとチェコ有利だったが、その後はロシアが素早くパスを繋げて、機動力でチェコの守備陣を翻弄し、立て続けに2得点。これは2008年大会でのロシアのプレーを彷彿させる。15分のゴールは Dzagoev 選手、24分のゴールは Shirokov 選手が決めた。ロシアは4‐3‐3で、特に前の3人が良い連携をみせていて、前半ロシアがもっとゴールを決めてもおかしくはなかった。チェコはボールを奪われると、守備と中盤の間に隙があり、ロシアの中盤、そして両サイドバックに前進の余地を与えた。
現在のチェコ代表は、往時のような勢いと才能ある選手には恵まれていないかもしれない。それでも、得点能力があるチームには変わりはない。52分には Plašil 選手のパスを受けた Pilař 選手が落ち着いてキーパーを回ってゴールを決めた。
それにしても、ロシアの攻撃力は素晴らしかった。スピードで相手を圧倒し、両翼を巧く使い、カウンターで一気に攻めるのは観ていて面白かった。73分に投入された Pavlyuchenko 選手は1ゴールに1アシストと大活躍。79分には Dzagoev 選手の2点目をアシストするパス、そして82分にはボックス端から右足で素晴らしいシュートを決めた。
ロシアは強いチームでA組から勝ち進むのは間違いなしと言われている。しかし、優勝する有力候補には挙げられていない。今日の試合ではあまり守備は試されなかったし、中盤を支配して試合のテンポを制御するようなチームや、守備が非常に固いチーム、そして組織力に優れているチーム、つまり優勝候補に名を連ねる代表を相手に、どれだけこのロシア代表のサッカーが通用するのか、グループ・ステージを突破し、準々決勝の時点でより明らかになるだろう。