オランダ0:1デンマーク
優勝候補の一角と言われているオランダと、1992年優勝国で組織力に定評のあるデンマークの対戦。2010年のワールド・カップでのあまりオランダらしくないオランダの作戦には辟易としたが、それでも観ていて素晴らしい選手が多くいるのも確か。試合の始まりからオランダが球を支配して、ゆっくりとパスを回す展開。テンポは比較的緩やかで、じわじわと球を回し、有利な状況に運ぼうという作戦。
オランダのゴールは時間の問題かと思えたが、先制したのはデンマーク。24分、こぼれ球を拾った Krohen-Dehli 選手が落ち着いてシュートして、ゴールを決めた。試合を通して、デンマークの守備は固かったが、守備一辺倒ではなく、球を得れば、両翼を使い、攻撃を仕掛けた。これは枠内シュート数が、オランダとデンマーク共に8回という統計に表れている。
「死の組」とも呼ばれるB組なので、勝ち点3を確保したいオランダは、後半開始から猛攻を仕掛ける。パスを速く回すようになり、次々と得点機を作り出すが、いずれもデンマークの守備に阻まれる。Robben 選手はポストを直撃するシュートを放ったし、オランダの攻撃の要となった Sneijder 選手は何回も素晴らしいパスを回したし、van Persie 選手に加えて Huntelaar 選手も後半途中に投入し、攻撃に攻撃を重ねたが、ゴールには至らなかった。。守備的中盤選手の van Bommel 選手と de Jong 選手があまり前に進まず、攻撃陣との間に空間がありすぎた。何となくだが、オランダは6‐4のような型で、まるでチームが2分しているように見えた。また、オランダの守備は決して鉄壁とは言えない。2010年ワールド・カップ決勝を最後の試合として引退した van Bronckhorst 選手の存在は、オランダにとってかなり大きかったように思える。ゴールは決まるときは決まるが、決まらないときは全く決まらない。上記の枠内シュート以外に、オランダの枠外シュート数は20で、ちなみにデンマークの枠外シュート数は0。
デンマークは巡ってきた機会を逃さずに得点した。このB組から8強に進出するのはどの国になるだろうか。次のドイツ対ポルトガルの試合の結果にもよるが、オランダの8強進出には黄信号が灯った。
ドイツ1:0ポルトガル
今大会の優勝最有力候補とも囁かれているドイツと Ronaldo 選手擁するポルトガルの対戦。試合開始数分を観ていると、ドイツはワールド・カップで見せたような鮮やかで攻撃的サッカーを今大会でも続けるよう。一方、ポルトガルは守備中心で、カウンターで得点を狙う作戦の模様。
ドイツの布陣は4‐2‐3‐1だが、攻撃となると、4‐3‐3で、Özil 選手が中心となって、守備的中盤選手である Schweinsteiger 選手と Khedira 選手も前に進み、この3選手が入れ替わりながら、前へのパスの機会を窺う展開。でもポルトガルの守備は固かった。全体的にはドイツが攻めたが、前半が終了に近づくにつれて、ポルトガルも徐々に攻勢に出て、前半終了間際にCKから Pepe 選手がクロスバー直撃のヘッダー。球はそのまま真下に落ちて、ゴール・ラインを超えることはなかった。
後半になって、ポルトガルは、サイドバックが積極的に前進し、中盤選手も両翼を良く使った。しかし、ゴールを決めたのはドイツ。72分右からのクロスに Gómez 選手が頭で合わせてゴールを決めた。1点を追う展開となって、ポルトガルは本領発揮というか、攻撃に力が入った。左の Ronaldo 選手、右の Nani 選手が中心となって、好機もあったが、得点には至らなかった。
ドイツ辛勝と呼んでよいだろうか。ドイツの守備は悪くなく、攻撃もリズムがあった。ポルトガルや上記デンマークの守備重視作戦は、チャンピオンズ・リーグにてチェルシーが証明したように、ドイツやオランダなど強いチーム相手にも有効だが、観ている側すると面白くない。ポルトガルはもっと攻撃的でも良かったと思う。何せ、才能豊かな攻撃的選手が揃っているから。特にデンマークがオランダに勝ったこともあり、ポルトガルのグループ突破の可能性はまだあるし、8強となれば、A組のチームと当たるので、準決勝進出も視野に入るだろうか。しかし、次はオランダを下したデンマークが相手。ポルトガルは積極的になって、デンマークの守備を崩す必要があるだろう。一方、ドイツはまだ本調子とは言えないが、次の試合では勝たないといけないオランダが攻撃的なサッカーで臨むだろうし、そうなればカウンターでの機会も増えて、ドイツにとっては攻めやすい展開となるかもしれない。B組の次の試合は面白くなると期待している。