EURO2012 | デンマーク対ポルトガル&オランダ対ドイツ

試合は2012年6月13日に行われた

デンマーク2:3ポルトガル

最初の試合でオランダに勝ったデンマークと、ドイツに敗れたポルトガルの対戦。デンマークとしては、次のドイツとの対決の前に、勝ち点が欲しいし、ポルトガルは準々決勝進出のためには、この試合で勝ちたいところ。

堅守のデンマークだが、前半が経過するとだんだんとポルトガルに圧されるようになって、24分に Pepe 選手がCKに頭で合わせてゴール。続いて、36分には右の Nani 選手からのクロスに合わせた Postiga 選手のゴールでポルトガルは2点リード。これで完全にポルトガルの試合かと思えたが、41分にデンマークは Bendtner 選手のゴールで1点を返し、前半が終了。

後半開始の最初の15分ほどはポルトガルに、得点の好機が続いた。特に Ronaldo 選手には、2回、決定的な機会があったが、いずれもゴールを決めることはできなかった。デンマークは1点を追う展開となって、攻撃に力を入れたが、ポルトガルのカウンター攻撃を受け、上記のようにポルトガルに好機が続いた。しかし、後半の半ばほどになって、デンマークは落ち着きを取り戻し、攻撃にもリズムが出てきた。そして、ポルトガルの守備の弱さが露呈した。しかし、いくら守備が悪くても、ゴールを決めることのできる位置に動き、回ってきたチャンスを逃さず得点する選手の存在が必要。その役をきっちり果たした Bendtner 選手がヘッダーで同点とする。

一時は2:0でリードしていて、突き放す機会もあったのに、同点となって、ポルトガルにしては嫌な展開となった。しかし決勝点はポルトガル。87分、数分前に Meireles 選手の替わりに投入された Varela 選手がゴールを決めた。

ポルトガルの守備には不安が残るが、得点力はある。ドイツとオランダと同組になったのは、不運かもしれないが、この勝利で自力での準々決勝進出に弾みをつけた。

オランダ1:2ドイツ

最初のデンマークとの試合では、数多くのシュートを放ったが、得点できなかったオランダで、8強進出のためには、最低限引き分けを目指すオランダと、優勝の有力候補で初戦を飾ったドイツの対戦。お互いの最大のライバル、あるいは敵愾心を最も燃やす相手。どんな試合となるか、スペイン対イタリアと並んで、楽しみにしていた。

立ち上がりはオランダが押す展開で、良い動きで van Persie 選手に数回ゴールの機会があった。プレミア・リーグの試合であれば、毎週のように決める機会だったが、オランダ代表になると外してしまう。先のデンマーク戦のような雰囲気が漂った。チャンスは作っても、ゴールを決められない。前半の3分の1ほどはほぼオランダが攻めたが、ドイツにもチャンスがあった。8分には Özil 選手がロング・シュートは放った。最初はオランダGKの Stekelenburg 選手が難なく捕球したように見えたが、実際はポストに当たっていた。

20分頃を境目にドイツが球を支配するようになり、じりじりと攻めていく。24分にドイツの先制点。右から Müller 選手と Schweinsteiger 選手が連携して前に進み、時機を見た Schweinsteiger 選手が Gómez 選手に完璧なパス。ゴールを背にして受け取った Gómez 選手がくるりと回ってシュートして得点。1点取ったあとのドイツは、ほぼ完全に試合の流れを掌握した。オランダには前に球を送ることに苦労した。38分のドイツ2点目も右からの動きが起点となり、またしても Schweinsteiger 選手のパスに Gómez 選手がゴールを決めるという流れだった。オランダは2点を追う厳しい展開のまま前半終了。

後半にオランダはストライカーの Huntelaar 選手と van der Vaart 選手を投入した。4-2-3-1から4-1-4-1あるいは4-1-3-2への変更という。そして攻撃に力が入る。オランダの得点は73分で van Persie 選手のゴール。ようやくストライカーらしく、ゴールを決めた。ドイツは球を得たならば、できるだけオランダに渡さないようする戦術に切り替えた。80分過ぎからはドイツは完全にリードを守り切る体制になって、2:1のまま試合が終了。

ストライカーがしっかりと役を果たしたドイツの勝利。後半のオランダはパスをより速く回し、機会を作った。前のデンマーク戦では、不運に見舞われたこともあったが、どうも中盤の2選手が守備的だったため、前後に開きがあって、まるで6-4の2チームと分かれていると書いたし、前半はそうだった。後半は、もっとオランダの実力を反映した試合となった。それは、攻撃的中盤選手である van der Vaart 選手の投入したことによるところが大きかっただろう。オランダの中盤に守備的な van Bommel 選手と de Jong 選手を両名とも起用するのは、現在のオランダのチームを見れば無理に思える。いかにバック4が不安だからと言っても、守備から攻撃の起点となったり、守備と攻撃を繋げる役の選手がいないと、試合の流れを掴めない。対してドイツは、チームの型がよくできていて、攻撃となれば、中盤の Özil 選手や Schweinsteiger 選手が前に進むし、守備では Khedira 選手と Schweinsteiger 選手がしっかりと空間を抑えているため、攻撃も守備もできるチーム。そしてワールド・カップではカウンター攻撃が冴えたが、今のチームは攻撃もGKから組み立てることもできる。そしてストライカーは好調。優勝最有力候補と呼ばれているのも理解できる。

8強進出代表は?

このB組から8強に進出するのは、どの代表だろうか。どのチームにも進出の機会がある。ドイツは勝ち点6で、グループ最終戦はデンマーク。引き分け以上であれば、ドイツがグループ1位で通過。しかし、ドイツがデンマークに負け、ポルトガルがオランダに勝てば、勝ち点6のチームが並び、この3カ国の対戦、つまり各国のオランダを相手とした試合を除く試合の得失点差で順位が決まる。そして得失点差で並んだ場合は、3カ国間の対戦の得点数が決め手となる。この場合、ドイツは比較的不利な立場。ポルトガル戦での1:0の勝利のため、得失点差は+1だが、得点数も1。対してデンマークはポルトガル戦で2得点のため、得失点差は−1だが、得点数は2。ポルトガルは得失点差は0だが、デンマークに3‐2で勝ったため、得点数は3。そのため、例えばデンマークが1:0でドイツに勝てば、得失点差0で3チームが並ぶが、デンマークの方が得点数が多いため、ポルトガルとともに準々決勝に進出することになる。ただ、これはデンマークが3:2あるいはそれ以上の1点差の結果で勝利した場合は、グループ全試合での総得点数によって順位が決まる。一方、オランダが8強となるには、ポルトガルに2点差で勝って、デンマークがドイツに負ける必要がある。そしてドイツがデンマークに勝てば、ポルトガルは1点差で負けても、2:1以上であれば、準々決勝に進める。1:0だとドイツ対デンマークの試合結果によって、デンマークかポルトガルが8強。ドイツ対デンマーク、ポルトガル対オランダ2試合とも引き分けの場合は、デンマークとポルトガルが勝ち点4で並ぶが、ポルトガルがデンマークとの直接対決での得失点差(+1)で8強に進出する。これらはあくまでも、数字の上での話で、ドイツにあともう一カ国といったところだろう。