ドイツ社会民主党(SPD)がシュレーダー前首相の改革路線を踏襲するフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー副首相兼外相を次期総選挙での党の首相候補、そしてフランツ・ミュンテフェリング氏を党首に選出し、選挙に向け始動した。社会民主党には改革を進める中道派と左翼党から有権者を奪回するためには左傾化すべしという左派があり、これまではっきりとした政策がなかったが、どうやら中道派が主導権を握った模様だ。これまで続いてきた党内の混乱が収束すれば、社会民主党にも機会があるかもしれない。次期総選挙において社会民主党はキリスト教民主同盟・キリスト教社会同盟(CDU / CSU)をおさえ第一党になることが勝利条件。
ただ現在ドイツ連邦議会における左翼党をふくめた5政党制だと、いくら SPD あるいは CDU / CSU が第一党となっても、よほど大勝しなければ大連立あるいは自由民主党と緑の党との3党連立という選択しかなさそう。2大1小・2大2小政党制では2大政党間と連立相手での政権交代が期待できたが、蚊帳の外にある左翼党が現在の厳しい経済状況の中では恐らく勢力を維持ないし伸ばすだろうから、次期政権はまたしても大連立、あるいは党の色をとって Ampelkoalition 「信号連立」(赤:社会民主党;黄:自由民主党;緑〔青〕:緑の党)か Jamaika-Koalition 「ジャマイカ連立」(ジャマイカ国旗は黒・緑・黄色で黒はキリスト教民主同盟・キリスト教社会同盟を指す)と呼ばれる連立政権となるだろう。
後日追加:この記事の予想に反し、2009年の総選挙後、キリスト教民主同盟・キリスト教社会同盟と自由民主党の2党による連立政権が発足した。これは社会民主党の大敗と自由民主党の躍進があってのこと。詳しくは『ドイツ総選挙 | CDU/CSU | FDP 連立となるか』にて