女子日本代表の辛勝。
日本の2得点は素晴らしかった。先制点はゴールキーパーのミスを見逃さなかったし、49分の2点目は豪快だった。どちらもセット・プレーが起点となっているのは、良いこと。日本代表選手の多くが、球の軌道を非常に良く素早く見極める。これは攻撃にも守備にも必要な能力で、相手にしては厄介。そして、試合終了間際に、惜しくもポストに当たり外れた大儀見選手のシュートは、日本のカウンター攻撃の強さを見せた。一方、1点を奪われただけで済んだのは、運が良かったところがあっただろう。運にも、自分の力で引き寄せるものもあれば、完全に相手によるものがあるだろうが、両方の運で日本は恵まれた。
前半、両チームとも、どうもあまり良い試合ぶりではなかった。日本のパスはあまりよく繋がらず、一方、フランスは遠くからシュートを放つようになった。遠くからシュートを放つのは、守備が強固であり、味方も良い空間にいなかったためだろう。日本は32分にFKを得て、それから得点して、日本には弾みがついた。ただ球を支配しつづけて、こまめにパスで繋ぐことがあまりできず、中盤から先へはあまり進めなかった。試合全体で枠内シュート3で2得点という統計は、効率の良さを物語っていると言えばそうだが、攻撃にあまりリズムがなかったことを示しているとも言える。
最終20分ほどの日本の守備は危なかった。中盤が破られ、フランスに球を持ち込まれた。左の守備が特に薄くなったようで、自陣の半分くらいの地点からボックス中央の外まで、フランスの選手が侵入することを、阻止することができず、再三フランスに好機を与えた。詰め寄るのか、それとも相手選手に行く場という空間を与えないのか、どちらかでないと、危険な状態に陥る。また、右の端に相手を追い込んだのは良いとしても、1対1の守備の場面で比較的簡単に躱されてしまい、中央に進まれてしまう展開は、問題点だろうか。1点を返されたが、そのあと、最後の一線はよく保たれた。コーナー・キックや左右のクロスをよく守ったのは、かなり評価できると思う。しかし、PKが外れたのは、運だろう。あの場面で同点となっていたら、どのような展開となっていただろうか。日本の3に対し、フランスの枠内シュートは11。中には前述通り、遠くから放たれて、GKがよほどのことがない限りセーブできるシュートも数多くあったが、数回、福元選手が好セーブを見せる必要があった。後半終盤、日本は試合のペースを落とし、フランスの勢いを削ぐため、球を保つことをすることもできただろうが、ゴール・キックは長く、半々以上の確率でフランスが球を得たり奪ったりして、波状攻撃を受けた。
以前、強いチームは守備の強いチームだと書いた。付け加えるとすれば、最善の試合内容でなくても勝てるチームは、強いチーム。これを女子日本代表は実践したことになるだろうか。ただ米国に対しては、守備のミスあるいは遅れは失点に直結することがある。決勝戦で勝つには、守備の集中力と球を支配して試合運びを牛耳る必要がありそうだ。