カーリングの面白さは、ほんのちょっとした差が試合結果を左右するところにあるように思う。僅かにストーンがずれたりすれば、完全に状況が変わってしまう。また、時には素晴らしいショットが決まるときもある。そのため、いつも息を詰めながら観ている。状況に合わせて、作戦も刻々と変わる。持ち時間が限られているので、短期間に判断を下し、実行しなければならない。後攻が有利であるため、試合の主導権を握るため、時には、相手が一点を取らざるをえない状況に追い込むこともあったりする。相手の向き不向きを研究し、どのようにすれば有利に試合を運べるか、常に考えなければならないため、チェスのようでもあるし、見かけ以上に体力を要するスポーツ。変な表現だが、観ているだけで心地良い疲労感を得られるのだから、選手たちの技術、集中力、判断力、そして体力には脱帽する。
BBCのウェブサイトでは、英国の試合、そして時にカナダの試合が中継されている。他の試合は sochi2014.
カーリング競技の初日だった2月10日は、女子の英国対スウェーデンを観た。共にメダル候補で、強豪が対決した試合で、スウェーデンが勝利した。スウェーデンのフォースの Prytz 選手の方が、英国のスキップの Muirhead 選手よりショット成功率が高かったことが勝因だろうか。
カーリング2日目は、男子のスウェーデン対カナダ、そして同時間に行われていた英国対ドイツの第10エンドを観た。両試合とも結果は7対6で、スウェーデンそして英国が、それぞれの試合で勝った。勝敗はハンマー(そのエンドでの最後つまり16個目のストーン)で決まった。ハウス内に先攻のカナダのストーンがある、6対6でハンマーを迎えた場面で、スウェーデンのスキップの Edin 選手のドローが僅かにティー(ハウスの中心)により近く、スウェーデンが勝った。一方、英国対ドイツでは、6対6で、英国が一般的には不利と言われている先攻。残り2投ずつという場面では、ハウス手前のセンターライン上に英国のガードが2個あり、ハウス中心を横切るティーライン上で、ティーよりやや外れた場所にドイツのストーンがある状況。スキップの Murdoch 選手の一投目が、見事にヒット・アンド・ロールで、ドイツのストーンを弾いたあと、ティーのやや手前、ガードに守れた場所に回り込んだ。ドイツのフォース Schulze 選手はこのストーンを弾くことができず、英国が勝利した。
上記の男子の試合後にあった、女子の試合では、英国対米国を観戦。第4エンドで英国が一挙に7得点で、試合の趨勢が決まり、第6エンドで12対3で英国の勝利となった。スキップの Muirhead 選手のショットがより精確となったことは、英国にとっては良いニュース。無論日本の活躍に期待しているが、英国も応援している立場。4年前に比べると Muirhead 選手は、自信をつけたし、勝負勘が良くなったように思う。日本対デンマークの試合は上記のように、図を見ながら「観戦」した。連続スチールは良かったし、小笠原選手のドローは、第6エンドのように、決まるべきところで決まっていたよう。もっとも、第2エンドのスチールは、表を見た限りだが、幸運だったかもしれない。何せ小笠原選手のドローは、デンマークのガードの後ろを回り込むことを狙ったが、ガードに当たってしまった。しかし、違うガードを玉突きで押し上げてハウス内の日本のストーンを弾く、プロモーション・テイクアウトを狙ったデンマークのハンマーが、小笠原選手の最終ストーンが動かしたガードに当たってしまい、日本の得点となった。もしデンマークのプロモーション・テイクアウトが成功していたならば、デンマークの4得点となっていたかもしれない。そして、表で見えたドラマと言えば、開催国ロシア対中国の試合。中国が6対4で迎えた、ロシア後攻の第9エンド、ハウス内にはロシアのストーンが1個ある状況で、最後のストーンをドローすれば、同点となったはず。でもスキップの Сидорова (Sidorova) 選手のドローは強すぎ、ハウスを通り越してしまい、ロシアは1点に留まった。中国が第10エンドで1得点で、結局7対5で勝利した。
これからも見応えのある試合が続くことを期待している。