連合王国・英国・ブリテン・イギリス・イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランド

このサイトにて、多くの「英国」関連の記事を掲載している。英国とは一般的には「イギリス」とよばれる国のこと。正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」である。「英国」及び「イギリス」の語源は「イングランド」なので、ある意味、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国全体を指す場合には、相応しくないとも言える。ただ、政治に関する記事などで厳密な区別が必要でない場合に、毎回「連合王国」あるいは「UK」と記すのも何となく堅苦しく感じられるし、北アイルランドを含まず、日本語であまり馴染みのない「ブリテン」を使うのにも抵抗を覚え、便宜上「英国」を使用している。「イギリス」より「英国」の方が、「イングランド・イングリッシュ」より距離感があるため。なお、「連合王国」には、ウェストミンスターにある議会に議員を送らない、マン島やチャンネル諸島などの王室属領は含まれない。いずれにせよ、かなり複雑。

「ブリテン」はグレート・ブリテン島のことで、北アイルランドは含まれないが、「連合王国(人)の」という形容詞はないので、「ブリティッシュ」というと、北アイルランドも多くの場合含まれる。これは、「合衆国(人)の」という単語がなく、「アメリカン」が使われるのと似ている。グレート・ブリテン島は、イングランド・スコットランド・ウェールズという3カ国に分かれている。国とは何かと定義するつもりはないが、それぞれに固有の歴史や文化そしてスポーツの国際試合に出場するナショナル・チームがあり、帰属意識の対象となっているので、国と呼んでも差し支えないと思う。

このため、英国人のアイデンティティーの拠り所となる「国」は、ブリテンとイングランド・スコットランド・ウェールズそして(北)アイルランドという、二重構造になっている場合が多い。もちろん、中にはブリティッシュを一切使わない人もいるし、逆にブリティッシュを強調する人も存在する。一番大事なのは、スコットランド・ウェールズ・(北)アイルランドの人をイングリッシュと呼ばないこと。また特に留意すべき点として、北アイルランドがあげられる。これは、主にプロテスタント系で、グレート・ブリテン島との連合(ユニオン)が大前提のユニオニストと、主にカトリック系で、アイルランド共和国との統一を望むナショナリストに二分できるため。前者のユニオニストならば自らをブリティッシュと呼ぶが、後者はアイリッシュと呼ぶだろうし、ブリティッシュと呼んだら嫌がるだろう。そして、英語圏であれば、イングランド・スコットランド・ウェールズ・(北)アイルランドと区別するかもしれないが、英国外であればブリティッシュを使うという人もいる。

もちろん、帰属意識は国以外にも何層も存在しうるので、英国内であれば、出身地は都市名や地域名で表す。日本国内で「出身地はどちらですか」と訊いて、返事が「日本」だったら、頓珍漢な答えだなと思うのと似ているだろうか。例えばイングランド内でも、ヨークシャーなど地域や大都市によっては、かなり帰属意識が強いところもある。

これから先も、便宜上「英国」を頻繁に使うことになるだろう。ちょっと歯痒いが。