これから今月末まで、英国では多くのストが行われる。ロンドン地下鉄の運転手の労働組合によるストが4回計画されていて、教員などの公務員もストを行い、「不満の夏」となりそう。英国のメディアの多くは、このようなストが続くよう状態になると、すぐに不満の春・夏・秋・冬と季節に合わせて呼ぶ。長期のストによって社会が麻痺状態となった1978〜79年の「不満の冬」が由来。
ロンドン地下鉄のストは、労組の運動に積極的に参加した運転手が不当に解雇されたとして、解雇取り消しを求めている労組と、この件に関して法的判断が下されるまで待つべきとする経営陣の対立が主な原因。ただストとなっても、経営側は多くの路線で運行するとしている。
公務員ストは、公務員の年金支給開始年齢引き上げや支給額減額など、年金制度改革を政府が計画しているため。また給与の抑制もインフレ率が比較的高い中行われているため、今後とも不満は強くなりそう。
人々が実感できる経済回復の兆しもない中で保守・自由民主連立政権の緊縮財政が続けば、「弱者切り捨て・公務員切り捨て」に反対する大型のストが続くとも予測されているし、ギリシャやスペインでのデモなども他人事ではないという論調もある。さてこれからどのように経済を立て直すのか、政府にとっては難しい時期が続きそうだ。