不況となっても強いスーパーは、やはり安いスーパーだろう。そのため、英国で最近業績を伸ばしているのが、ドイツ系の格安スーパー Aldi と Lidl というのは、さして驚くことではない。
以前『英国社会 | スーパーで階級がわかる』という記事に書いたように、英国のスーパーはいくつかに分類できる。まず、中流の中から上の裕福層を主に取り込もうとする Waitrose と Marks and Spencer に有機食品専門の Whole Foods Market。次に中流から労働者階級まで幅広い客層の大手スーパー Tesco, Sainsbury’s と Morrisons。4大スーパーの一角 Asda は Tesco, Sainsbury’s, Morrisons よりちょっと安め。そして Aldi や Lidl の格安スーパー。
このような経済状況では値段も質も高い Waitrose や Marks and Spencer は苦戦するとも思えるが、予想外にも Waitrose には勢いがある。最近12週間の統計によると、売り上げが前年比8.3%上昇したという。確かに元気のあるスーパー。つい最近、新しい店舗がウィンブルドンにできた。また Little Waitrose という面積の小さい店舗が都心や駅近くにどんどん出店している。このため、この数値に新店舗が含まれているのかは下記新聞記事からは分からない。いずれにせよ、Waitrose の展開は、都心の駅に出店して、電車で帰宅する人々を主な客層とした Marks and Spencer の成功例を真似たのだろうか。食品では、あくまでも個人的な感想だが、Waitrose の方が Marks and Spencer より上だと思う。どちらかというと Marks and Spencer はレトルト食品に力を入れているため、Waitrose は料理するための食材を売るという住み分けになるかもしれない。
大手スーパーが苦戦しているのは客層の幅広さが仇となっているとも言われている。中流層の一部はより安い格安スーパーに流れ、値段よりも質にこだわる客は Waitrose に行くようになったのかもしれない。
《蛇足》 Waitrose は賞味期限が迫った食品を結構早い時点で他のスーパー以上の割合で割り引くので、その日に食べる物を買うならそう高くないことも。
Independent: Food wars: A tale of two nations