英国を象徴するものとして、パブが挙げられる。一昔前は主にビールを飲む社交の場だったが、最近は食べ物に力を入れるガストロ・パブや、コーヒーなども出してカフェと対抗したりする形態のパブが多くなってきている。そして、大型スクリーンを設置して、スポーツの試合を中継する、スポーツバーのようなパブも増えてきている。そのため、国民的スポーツであるサッカーで、イングランドが欧州選手権やW杯の大会本戦に進出すると、パブでビール片手にテレビに向かいながら、応援あるいは罵倒するのが、習慣となっている。
今年のW杯はブラジルで開催されるので、時差があり、イングランドのイタリア相手の試合の開始時間は英国時間午後11時。この時刻は多くのパブの閉店時間。以前は法律で、午後11時が閉店時間と定められていたのだが、2005年施行の2003年の法改正で、地区行政に申請して、営業時間を延長する許可を得ることができるようになったし、特別な機会、例えば2011年のケンブリッジ公爵夫妻の成婚式や、2012年の女王在位60年を記念した週末では、内務省が個別の延長許可なしで、全国でパブの営業時間延長を認めた。英国のビール醸造とパブの利益団体は、2011年や2012年の事例を前例として引き合いに出して、W杯期間中、内務省の権限で全国的にパブの営業時間延長を認めるように働きかけたが、内務省は認めない方針だと言う。
そのため、午後11時以降もW杯期間中に営業時間を延長したい場合は、パブの経営者は営業延長許可のために£21を払う必要があるし、認可は地区行政に任されることになる。さて、もしイングランドが勝ち進めば、人々の財布の紐も緩くなり、パブにとっては書き入れ時となるだろう。もっともイングランドはグループでイタリアとウルグアイと同組でかなり厳しいので、3試合後に帰国という可能性も結構高い。さて、延長許可を申請するパブ経営者は多いだろうか。