宗教や社会や文化によって、食べ物に関して、いろいろなタブーが存在する。例えば、ユダヤ教やイスラム教では、豚肉を食してはならないというように。またある国や地域では、食習慣として食べないものがある。英国には、馬肉を食べる風習はない。馬は競走馬やペットとみなされているためだろうか。社会的に広くペットと認知された動物は、あまり食べないのだろう。一方、海峡を挟んだヨーロッパ大陸の国々では馬肉を食べるところも多い。フランスやベルギーのスーパーでは、馬肉が牛肉や羊肉や鶏肉とともに販売されている。
先週、アイルランドで発表された遺伝子検査結果によると、アイルランドで生産され、アイルランドおよび英国のスーパーで販売されていた、安いつまりはお買い得「牛肉」ハンバーグに、少量の豚肉、そしてかなりの量の馬肉が混入していたことが判明。羊頭狗肉ではなく、牛頭馬肉と言ったところだろうか。人体に影響はないというが、偽装であったことともに、上記にように、禁忌とされている豚肉を食べてしまったり、また馬肉を食べる習慣がないため、アイルランドと英国の多くの人々は馬肉を食べたことに嫌悪感を示しており、社会問題として取り扱われている。
どのようにして馬肉が混入したのか、これから調査される。安く原料を仕入れるため、多様なルートで肉を調達しているため、どこで馬肉が牛肉として混入したのか、突き止められるだろうか。そして、欧州連合内での肉の流通に変化があるだろうか。
蛇足 日本語では「ハンバーグ」と「ハンバーガー」を区別するが、英国では一般的に「バーガー」で両方を意味する。ただ、日本語と同じで「ハンバーガー」と呼ぶ場合は、パンに挟まれた食べ物を指す。