英国 | 公務員スト

2011年11月30日 | 英国時間午前2時

英国では今日、公務員がストを行う。入国審査官、教職員、医療従事者、地方自治体公務員など、200万人以上という規模。そのため、空港での入国審査に時間がかかり、多くの学校が休校となり、緊急手術以外の手術は延期となり、図書館は開かず、ゴミ収集は行われないという様に、大きな影響が出ると予想されている。ちなみに、一部地域を除き電車・地下鉄・バスなど、公共交通機関は通常通り運行される。

公務員の労働組合によれば、このストは政府の年金改革案に反対するため。改革は支払額の増額、年金支給開始年齢の引き上げ、支給額が減る年金の計算方法の改定など、公務員は現状より多く長く年金に支払い、少ない額を受給することになる。これは多くの先進国で見られる問題であり、何らかの負担増は避けられないが、労組は政府案はあまりにも公務員に対し不公平であると主張。政府と労組は協議を続けてきたが、まだ合意には遠いという見方が強い。そのため、12月31日までに合意がなければ、労組側は年明け早々に再びストを行うと表明している。

特に公立学校の多くが休校となるので、子供の面倒を見るために仕事に行けない人も多く、英国経済に与える影響も大きい。いろいろ試算されているが、今日のストによる英国の経済的損失額は5億ポンドとも言われている。政府は、厳しい経済状況の中でのストは、労組の身勝手な行為であり、更に景気を悪化しかねないと批判している。

今日のストが英国経済にどのような影響を及ぼし、今後政府と労組双方の主張に対しどのように英国世論が反応するのか、予測できないところが大きい。さて、2011〜12年の冬は「不満の冬」の再来となるだろうか。