W杯2010年南アフリカ大会

ワールド・カップ観戦日記 | 24 | 日本の作戦

2010年6月18日

日本はオランダ戦を控えているが、この試合にどのような作戦を用いるか、興味深い。前のカメルーン相手の試合のように守備重視で、球をとにかく外に出して、試合の流れを作らせない、所謂「アンチ・フットボール」作戦で、相手に得点機を与えないプレーとなるかもしれない。そして回ってくる機会を最大限に使う。これは観ていて面白くないサッカー。しかし日本の実力を考えれば、格上の相手に対抗する数少ない方法の一つでもある。美しいサッカーではなく、勝てる、あるいは負けないサッカー。勝負の場にあって、ルールから逸脱せずに勝つことは最重要。そのため、この作戦を用いることは批判しないし、作戦遂行には守備の組織力が不可欠なので、それなりの意志と能力が必要とされ、評価されるべき。そしてこの作戦が結構効果的であるのは、今大会の日本の勝利だけではなく、スイスが似た作戦でスペインに勝利したことでも分かる。2004年欧州選手権ではギリシャは優勝までしている。

それでもオランダ相手にこの作戦がどれだけ有効か、ちょっと疑問でもある。オランダのサッカーはカメルーンより組織的でセット・プレーにも強い。波状的に攻撃を仕掛けてくることのできるミッドフィールドを押さえ込むのも難しい。そして Van Persie 選手という非常に勝負強いストライカーと Kuyt 選手などと言った速くて運動量をものともせずに両翼から攻撃する、どの面においても選手層の厚いオランダ。こぼれ球、一瞬の隙や油断はすぐにオランダの得点に繋がる可能性がある。そしてオランダはデンマーク戦でも最初は守備に阻まれたし、スイスがスペインに勝ったことも観ただろうし、北朝鮮が前半ブラジルを封じたことも知っているだろうから、それなりの対策を練っているはず。そのため、日本に勝機ほとんどなしと見ている。

欲張ったことを言えば、いずれ日本代表が美しいサッカーで伝統国に勝てる日が来ることを願っている。