日本 3:1 デンマーク
日本がデンマークに勝てるとは正直思わなかった。そして、日本、勝てるじゃないか、美しいサッカーで。特に87分の3点目はただただ素晴らしかった。本田選手の守備選手を躱す個人芸がまず光り、そして自分がシュートを放つのではなく、ゴール・キーパーが前に出てきたのを見届けてから、確実にゴールを決められる岡崎選手にパスをしたタイミングと判断力は世界でもトップ・レベル。
攻守が噛合って、チームの型として良くできていた。流動的な4−1−4−1のような感じで、守備は前の試合より精度が高まっていた。守備の前の1−4−1は前に出て、相手に場所を与えず、球のやり場をなくす。型はそのままで人員が替わるだけ。そして最後の守りとして立つ中沢選手と闘莉王選手は信頼できる存在。彼らの前には阿部選手がいて、ゴール前の空間を占拠してデンマークに渡さなかった。この型は前試合のオランダ戦よりもっと徹底していた。そして頼もしかったのは攻撃にすぐに移行できたこと。本田選手の試合勘は鋭く、どのように動けばチームに貢献できるか常に考えて動いていた。これは例えば長谷部選手や松井選手にも言えること。全員攻撃には至らなくても、全員守備にはなっていた。これは前の2試合よりチームとしての完成度が非常に高まったことを示している。今日の1失点は PK のリバウンドで、PK 自体は弾いたのだから、川島選手の勘は評価されるべき。デンマークはカウンター攻撃、そしてサイドからの素早い攻撃が得意で、3試合でオフ・サイド3回というチームだったので、これを封じたのは見事。Bendtner 選手もほぼ完全に封じ込めた。相手が長いパスを使いだすと、攻めあぐねているのが分かる。
デンマークは勝たないといけない試合。日本は守りに入るのではなく、以前の2試合に比べてもっと攻めた。これは作戦として当たっていた。引き分け狙いで90分間守るより、機を見て攻撃して、点を取る方が良い。相手にも精神的圧力をかけることができる。そして、数回好機があったのちの、先制点となった本田選手の30メートル超の FK は豪快だった。守備壁のため、弾道を読み取ることができず、キーパーの Sørensen 選手はまず左に動いてから、球が飛んできた右に。そのとき、すでに遅し。遠藤選手の2点目も守備壁の配置によっては阻止できたかもしれないが、ほぼ完璧な形でゴールに収まった。まだボールと高地の試合になれていないチームが多い中、これほどよく FK を放てるのは他チームにとっては脅威。
もう何が起きても驚かない大会となっている。次はパラグアイだが、日本にとっては例えばイタリアよりはまだ勝機ある相手。岡田監督の4強入りという目標、まだまだ道程は遠いが、少なくとも大会前よりは実現性を帯びてきた。