W杯2010年南アフリカ大会

ワールド・カップ観戦日記 | 63 | スペイン・オランダ

2010年7月11日

スペイン 1:0 オランダ (延長後)

スペイン、初めて世界王者の地位に! そして美しいサッカーが醜いサッカーに延長戦の末勝った試合でもあった。

これまでオランダのサッカーを評価してきたが、今日の試合の前半の模様を観て、正直オランダのプレーに対し残念という感情を遥かに超え嫌悪感さえ覚え、オランダには勝って欲しくないとつくづく思ってしまった。今まで以上にラフなプレーが目立ち、この決勝までの数試合は何かとオランダらしくないと思っていたが、これほどまでに荒っぽい試合運びになったのは、期待を裏切られたし、ただ単に見苦しかった。勝つために、美しいサッカーを捨てるのに、異議はない。しかしどのような形でも勝つというのは、これまで培ったオランダのサッカーに対する冒涜のようにも思えた。特に28分に de Jong 選手が Xabi Alonso 選手の胸を蹴ったのは、即刻退場になって然るべきのファウル。確かに退場処分選手が出る試合は好まない。11対11の試合が観るのが好きだが、ひどいことをすれば、ピッチを去るべき。

前半は立ち上がりこそスペインに好機あったが、15分を過ぎてから、とにかくオランダがスペインの動きをどのような形でも阻む作戦。上記の de Jong 選手以外にも例えば van Bommel 選手などとにかく試合の流れを止めることに専念した。そのため、ちぎれちぎれになった試合展開で、例えば前日の3位決定戦にあったような観ていて面白いサッカーとはほど遠かった。

後半になり、やや動きが活発となり、数回両チームに絶好の得点機が訪れたが、キーパーに阻まれたりとゴールにはならなかった。特にオランダの Robben 選手には2回、キーパーと1対1になる機会があったが、いずれも Casillas 選手が好セーブ。最初の62分の機会は Sneijder 選手 | Robben 選手という軸で、決まれば試合の流れには反していたとしても素晴らしいゴールだっただろう。一方スペインの David Villa 選手や Sergio Ramos 選手にも好機あったが、いずれもゴールにはならず、延長戦へ。

スペインは86分に Fàbregas 選手を投入し、また David Villa 選手の代わりに Torres 選手を延長後半開始時に投入した。特に Fàbregas 選手はスペインの攻撃のリズムの向上に繋がった。延長戦はほぼスペインのペース。残り時間が少なくなりつつあり、PK で決着が着くかもしれないと思いはじめたときに、まずオランダ Heitinga 選手が累計警告で退場になった。そして116分、右側にいた Iniesta 選手が中央の Fàbregas 選手から球を受け、シュート、ゴール。これが決勝点となり、スペインが優勝。

今大会一番良い試合とは言えないが、やはりスペインという美しく強いサッカーをプレーするチームが勝ったのは嬉しい。

蛸足:かの蛸 Paul の予想通り⋯⋯。