2015年5月7日の英国総選挙で、保守党が単独絶対多数を確保した。これは驚くべき結果。世論調査会社によって差はあったが、下記3社を例にすると保守党と労働党の差は、選挙日当日に公表された予測によれば最大で11議席。前日の5月6日の数値に比べると、選挙日当日その差は縮まっていた。労働党を社説で支持したガーディアン紙は、保守党・労働党ともに273議席ずつという数値を弾きだしていた。もし、何らかの流れがあったとすれば、保守党ではなく、労働党の方へ支持が回っていたとも考えられるデータだった。もちろん誤差は世論調査にはつきものだが、これほど外れるのは珍しい。そして1社だけではなく、数多くの世論調査会社が予測を発表していて、差はあれども、保守党単独絶対多数を予測した例はなかったと思う。世論調査会社だけではなく、何事も賭け事の対象とする英国なので、次期政権がどのような形であるか倍率を見ると、労働党少数政権、保守・自由民主連立政権、保守党少数政権、労働・自由民主連立政権、保守党単独絶対多数政権の順に上がっていた。
ガーディアン紙の議席数予測。政党名 | Labour: 労働党 | SNP: スコットランド国民党 | Green: 緑の党 | Others: その他 | Ukip: 連合王国独立党 | Lib Dem: 自由民主党 | Conservatives: 保守党。
2015年5月6日公表
Guardian
2015年5月7日公表
Guardian
www.
2015年5月6日公表
2015 UK Parliamentary Election Forecast
2015年5月7日公表
2015 UK Parliamentary Election Forecast
www.
2015年5月6日公表
Electoral Calculus
2015年5月7日公表
Electoral Calculus
2015年5月6日にオンライン賭博のサイトを垣間見ると⋯⋯ Labour minority: 労働党少数政権 | Con(servative)-Lib(eral Democrat) coalition: 保守・自由民主連立 | Conservative minority: 保守党少数政権 | Lab(our)-Lib(eral Democrat) coalition: 労働・自由民主連立 | Conservative majority: 保守党多数政権 | Any coalition involving SNP: スコットランド国民党が参画する連立。
Paddy Power
William Hill
保守党の大勝(定数650中331)はまずこの5年間連立を組んでいた自由民主党から多くの議席を奪ったこと、そして労働党からも議席を獲得したことにある。自由民主党は散々な結果となった。スコットランドではスコットランド国民党に議席を奪われ、イングランドとウェールズでは保守党と労働党に議席を奪われた。現職閣僚や元党首や30年以上再選され続けてきたベテランが次々と落選して、改選前の57議席から49議席を失い議員数は8となり、党勢回復は果たして可能だろうか。スコットランドでは、スコットランド国民党が59区中56区で勝利し、スコットランドでの得票率は50%という、驚異的結果を残した。スコットランドの選挙区では労働党の影の外相が落選。改選前スコットランドでは41議席だった労働党もエディンバラの1区をなんとか守ったが、残りの40議席で敗退。イングランドでも、労働党が勝利を収めたならば、首相に次ぐ地位にあった影の財相が落選した。労働党は改選前258議席から26議席減の232議席。労働党のミリバンド党首・自由民主党のクレッグ党首はそれぞれ5月8日に辞任。また連合王国全体の得票率が保守党・労働党に続く12.6%だった連合王国独立党も、改選前2議席あったうち1区で再選を果たしたものの、もう1議席は保守党に奪われ、党首のファラージュ氏が重点的に狙った選挙区でも敗れ、ファラージュ党首は辞任。労働党も自由民主党も新しい党首を選んだり、敗戦の総括などを行わなければならず、どうしても内向きになるだろうから、まず野党らしく政府与党と立ち向かえるのはスコットランド国民党だけかもしれない。保守党とスコットランド国民党の圧勝、労働党と自由民主党の大敗と、世論調査とはかけ離れた結果となった。