英国午後11時をもって英国は欧州連合(EU)から離脱。しかし、それによって英国での日常生活が変わることはない。今年12月31日まで現状が続く移行期間があるため。ただ英国は欧州連合理事会・欧州議会・欧州委員会に参加できなくなる。これらの場での影響力はなくなったが、今年末までは実質的にEU加盟国のようなもので、EU法や基準や規制などに従わなければならない。EU離脱で主権を取り戻したと喜んでいる人たちもいるが、まだこの時点ではそこまで至っていない。移行期間は延長可能だが、英国のジョンソン首相は否定的。
今後どのような関係を築くか、英国とEUは協議を重ねることになる。もし何らかの自由貿易協定を締結するなら、どんな内容になるだろうか。問題は未だ英国政府の意向が不透明であること。もし今年末までに全てまとめ上げるのであれば、早急に立場を明確にする必要がある。もしEUと多くの基準や規制を共有しつづけるようになったら、何のための離脱だったのかという議論になりかねない、かと言って離れすぎてもEUとの交易がままならなくなるかもしれない。またEU以外の国や地域との交渉を目指すことを表明している。ただ、このような交渉は長い間EUが行ってきたことなので、同時進行できるほどの行政力と政治的意思が英国にあるだろうか。
英国社会は離脱派・残留派に二分されたまま。これからも当分の間この分断は続くだろう。多くの事柄がEU離脱に起因するものと論ぜられることになるだろう。特に経済。もし景気が良くなればEU離脱のおかげと離脱派は主張するだろうし、もし景気が悪くなればEU離脱のせいだと残留派は言うだろう。たとえ他に原因があったとしても。
EU離脱は今日で済んだことではなく、これからが正念場。英国の社会統合と政治と外交がこれから試される。