昨日(2020年2月2日)ロンドンでまたテロ事件があった。ナイフを持った20歳の男が人を切りつけ、3人が怪我をして病院に搬送された。男は駆けつけた警察官によって射殺された。つい最近までテロ関連で服役していて、出所後も当局の監視対象だったと報道されている。偽物の自爆用ベストを着ていたらしい。なお、英国の警察官で銃器を使うのは訓練された一部で、多くの警察官は拳銃を携帯していない。
去年11月に非常に似た犯行がロンドン・ブリッジであった。テロ関連の犯罪で有罪となって服役し、仮出獄した男がナイフで通行人に切りかかり2人の命を奪った。この犯人も警察によって射殺されたし、偽物の自爆用ベストを着用していた。
このような事件は防ぎ難い。ナイフは簡単に手に入るし、通り魔的犯行なので、計画もさして必要ない。いくら監視下にあったとしても、対象者が数千人いるなか、24時間体制で見張るだけの人員はいない。模倣しやすく、テロの型として今後とも似たような行為があるだろう。憶測はいろいろとあるが、このような場合、犯人が偽物の自爆用ベストを身につける理由は、人に恐怖を与えるためというよりも、確実に警察に射殺されるためだと言う。逮捕されるよりも、テロ行為で「殉教者」として死を選びたいから。
なんとも暗い気持ちになるニュース。今回の犯人が20歳という若さで、18歳で有罪となって収監されたのに更正されず、凶行に及んだ。今年の9月で米国同時多発テロから19年。あの日、あの時、どこで何をしていたか覚えている。でも現在20歳の人が覚えていることはまずありえない。世代によってはケネディ大統領暗殺のことを鮮明に覚えている人がいるが、私にとっては全く実感がないのと同じだろう。今後も出口が見えない「対テロ戦争」が続くだろう。