96歳で昨年から体調が度々心配されていたが、3日前に新首相を任命したばかりのエリザベス2世が昨日崩御。唐突の死去でびっくりした。昼過ぎからずっとウェブでBBCニュースを観ていたのだが、崩御は18時30分に更新された英王室の Instagram アカウントで知った。BBCニュースで発表される前だった。エリザベス2世の在位期間は70年に及び、多くの英国人はエリザベス2世以外の国王を知らない。一般的に幼少期の記憶がいつ頃から残るのか分からないが、ジョージ6世を実際にそして鮮明に覚えてる人は75歳以上だろうし少ないだろう。
思い出すのは昭和天皇の崩御。第2次世界大戦を跨ぐ在位期間62年だった。私は当時10歳にも満たなかったので、事の重要性を理解できていなかった。ただ覚えているのは、思い違いがなければ、重体という容態が続き、頻繁に血圧や脈拍数が公表されていたこと。その当時の自分がどう思っていたかは記憶にないが、覚えているというのは何らかの違和感があったのかもしれない。もちろん究極の公人であり国民の関心事だが、個人の尊厳の観点からそこまでの詳細を公表する意義が果たしてあったのか、振り返るとなんだか疑問に思う。
戦後日本の成典憲法に基づく象徴天皇制と違い、英国は非成典憲法の立憲君主制で、特に行政権において理論上国王に属する大権や権利を首相と内閣が行使というか代行しているところがある。英国王の「君臨すれども統治せず」の歴史は長いが、権力の在り処と正統性と行使に柔軟性があるとも不透明とも言える中、エリザベス2世は70年もの間確たる地位と立場を築きながらも政治的中立性を保ち、大英帝国時代が終焉しても英連邦をまとめ、英国のいわゆるソフト・パワーの最強の存在だった。中世近世の国王のように政治や軍事で直接国家の興亡に関わることはなくても、英国の歴史においても類を見ない君主だったことに違いない。
英国に国王のいない期間はいないので、エリザベス2世崩御は即ちチャールズ3世の代の始まり。英国や英連邦の国々の硬貨・紙幣・切手の肖像画、郵便ポストや建物の EiiR や商品のパッケージにあるエリザベス2世御用達の記章などもそのうち変わっていく。当分の間慣れないと思う。