年の瀬実感できず

もう年の瀬。ほぼ毎年のように繰り返す愚痴だが、何もしないうちに無用に年をとった一年が終わりそう。2015年も残すところあと数日なのだが、未だに「一年が終る」という実感なし。ここ数週間、あまりクリスマスらしくなかった。キリスト教徒ではないので、降誕祭という宗教の儀は私にとっては関係ないし、気楽な一人暮らしなので、プレゼントを買ったり、七面鳥を焼くこともない。そもそもあんな大きな鳥を焼くようなオーブンはない。

なぜ年末だということが実感できないかというと、今年のロンドンは暖冬であるため。暖かいがどんよりと曇った日が多く、また風雨強い日もあり、イングランド北部では、大量の雨が降って洪水が発生し、広域が冠水してかなりの家屋が浸水被害に遭っている。冬というよりも、獰猛な秋のような天候が英国では続いている。

どうもクリスマスに正月は即ち冬という思考回路が出来上がっていて、寒くないとクリスマスや正月だとは思えない。ロンドンでは冬に雪が降ることは稀としても、例年どおりであれば霜が降りて庭の芝生が遅く昇る陽の光を浴びて輝く日が多いだろうし、また子供の頃年末年始にはよく家族で北海道に帰省して雪の中で過ごしたことが多く、原風景にあるのは、年の終わりは静寂というか死の雰囲気漂う冬、そして年の始まりは春へと向かい日がだんだんと長くなる冬。

テレビを観ていると、例えばオーストラリアでは、サンタクロースに扮した人が水上スキーで現れる姿が放映されることがある。南半球だから夏なので暑く、そのような演出もあるだろうと頭では理解できるのだが、感覚としてどうも受け入れることはできない。

でも寒くなれば寒くなったと文句を言うだろう、もし今の天気が変わって冬という季節そして年末年始を実感できたとしても。