雨道を歩くと水が染み込み足が濡れるようになったら、靴は靴としての役目を果たしていないと言えよう。買い物はあまり好きではないし、ずぼらで靴は潰れるまで履くのだが、雨の降ることが多いロンドン、穴の空いたみすぼらしい靴を履き続けるのは、さすがによろしくないので、新しく一足買った。新しい靴とは即ち靴擦れ。新しい靴を買うのを躊躇うのは、面倒だからということもあるが、靴擦れが嫌なせいかもしれない。
数日間家の中で履いて慣れようとしても、外で履いて歩くのと全く違う。先日、新しい靴を履いて外出したところ、1時間もしないうちに、踵が痛くなってきた。皮膚は赤くなり、水膨れができつつあった。終日この新しい靴を履き続けないといけないので困ったし、これから痛む足で歩くのは憂鬱だった。近くのブーツ (Boots) という英国の全国的ドラッグストア・チェーンの一店に駆け込むと、絆創膏が置かれているコーナーに blister plasters という語呂のよい靴擦れ用絆創膏があった。通常の絆創膏より高かったが、それは相対的に考えたならばの話で、絶対額で比較すればそんな差はなかった。それでも、靴擦れ用絆創膏にしようか⋯⋯普通の絆創膏にしようか⋯⋯少し迷ってしまったのは貧乏性だからだろうか。痛みもあったし、節約してすぐに剥がれるような絆創膏を買うよりも、靴擦れを和らげる商品が欲しかった。買ってよかった。非常に助かった。その後一日中靴を履き続けて、やや違和感は覚えたとしても、痛みは伴わなかったし、剥がれることもなかった。
今晩、ロンドンでは雪が舞っている。積雪も予想されている。明日、雪道を新しい靴で歩くことになるかもしれない。恐らく今は大丈夫だが、靴擦れ用絆創膏は忘れずに携帯しよう。