ヨーロッパ各国で新型コロナウイルス感染症の第2波による数多くの新規感染者が確認されている。死亡者数も多い。英国で昨日2020年11月11日に公表された死者数は595。累計で死者5万人を超えた。これは新型コロナウイルス感染症の陽性検査から28日以内に死亡した人数。死亡診断書に新型コロナウイルス感染症が記載されている数は10月30日現在で6万1648。2019年時点での英国の推定人口は6700万弱なので、このままだと1000人に1人を新型コロナウイルス感染症で失うことになる。
検査で陽性になったり、新型コロナウイルス感染症感染者の死亡が確認されてから、統計として発表されるまで数日かかるし、新規感染者数も陽性者全員を把握しているわけではないので、現況は入院患者数をもとに考えるべきだという意見がある。英国の新型コロナウイルス感染症入院患者数は11月9日現在で1万4260。人工呼吸器を要する患者数は11月10日現在で1219。春の第1波の最大数値は4月12日時点の入院患者数1万9842・人工呼吸器を要する重症患者数3301だった。まだ増加傾向にあるので、現在の第2波は春の第1波の数を超すだろうと言われている。北半球ではこれから冬になり、日本より緯度の高いヨーロッパの多くの地域で夜はどんどん長く暗くなる。例えば札幌が北緯43度に位置するのに対してロンドンは51.5度。ロンドンで雪が降ったり非常に寒くなることはあまりないが、夜は非常に長く感じられる。
イングランドに先週木曜日に外出制限が再発令された。不要不急の外出は避け、屋内で他世帯と会うことなどは禁じられている。スーパーなど食料品や生活必需品を売る店以外は閉店していて、外食産業も持ち帰りと配達のみ。この春の外出制限と違うのは学校が一律に休校となっていないこと。ただ多くの学校では感染した生徒が休んでいる。外出制限は12月2日まで続く予定。政府は12月2日以降地域や都市別に感染状況に見合った行動制限を設ける方針。でも新規感染者数が減らなければ、イングランド全土の外出制限が延長される可能性もある。今回の外出制限に関しては与党・保守党内で反対する造反者が出るほどだったので、もし延長せざるを得なくなるとボリス・ジョンソン首相は非常に頭が痛くなる。外出制限による経済的打撃は深刻で、クリスマス前の書き入れ時の有無は小売業界にとっては死活問題。しかし重病人や死人に経済は回せない。
今度で2回目となる外出制限は精神衛生上あまり良くない。もちろん必要な政策でむしろ遅かった感さえあるが、実際に発令されると「ああ、またか⋯⋯」という軽い絶望感を味わった。そして既述したように夜長の季節。どうしても塞ぎ込んでしまうところがある。朗報といえば有効性が期待されるワクチン開発のニュース。この冬を乗り越えれば⋯⋯一筋の光明が見える。安全性は確保されなければならないし、実際に集団免疫閾値に至るまでの大人数の接種をどのように行うのか、課題は多い。でも新型コロナウイルス感染症という箱にも希望は残ってるようだ。