6次の隔たり、英語では six degrees of separation という仮説がある。友達の友達の友達⋯⋯と計6回繰り返すと全人類と繋がるというもの。本当に全人類と6回で繋がるか、未接触部族の存在はどう説明するのか、いろいろと異論を唱えることはできるだろうが、考えとしては興味深い。私のような社交性の乏しい人間は第1次の隔たりが少ないのだが、友人の中には交友関係が広い人も。
遠く離れていて自分とは全く関係ないと思う「他人事」も、実は身近なのかもしれない。ニュースは新型コロナウイルス感染症中心だが、世界各地で言論の自由が抑圧されている。香港やミャンマーなどがすぐに思い浮かぶだろうか。友人の友人が比較法学の研究者で中国や香港を研究対象としているため、第3次の隔たりで香港の民主化運動の活動家と繋がる。
ヨーロッパでは昨年8月に不正と目される大統領選挙でルカシェンコ氏が「再選」されて以来、政権に抗議する人々への弾圧が続いている。ベラルーシに住んでいたこともある友人がいて、「知人が何人も投獄されている」とこの前のリモート会話中に話していた。私にとっては第2次の隔たりと言えるだろう。抗議集会に参加していなくてもジャーナリストということで数日間拘束されたり、列車で本を読んでいたら逮捕されたというケースがあるという。恣意的に強権を発動して、いつどこで誰がどのような仕打ちを受けるのか予測しえない状況を作り出し、不安と恐怖を与えることによって民衆を統制するのは、民主主義と法の支配に反する国家体制の常套手段。
友人知人ではないかもしれないが、第2次の隔たり・第3次の隔たりで繋がっている人がいるのに、何もできないのがもどかしい。