記憶の引き出し

人の脳には記憶の引き出しがあるとよく言われる。自分が興味あることや必要な情報を覚えるが、興味がないことや不必要な情報に関してはすぐに忘れてしまう。私の場合は歴史が好きなので、いつどこで誰が何をどの理由で行ったのか、かなり前に読んだ本の内容でも結構覚えている。歴史に興味ない人にしてみれば、よくそんな無駄なことを覚えているものだと思うことだろう。野球に興味がない人にとって、野球ファンが自分が応援している球団の選手のみならず、監督やコーチを知っていて、打率などの数字を記憶していて、更に同じリーグまたは両リーグの他球団の選手についての知識があることが驚きなのと同じ。

自分の記憶力が良いのか悪いのか、それとも平均なのか、よく分からない。でも最近記憶を引き出す力が弱くなったような気がする。新型コロナウイルス感染症対策で家にいることが長くなって、刺激が足りないせいだろうか。歳のせいだろうか。どの引き出しにどの情報を仕舞ったのか、思い出せないことが多くなった。引き出しに貼った札が色褪せて、見回してもさっと見つからない。ようやく引き出しを見つけても、中に保管した情報が虫食い状態になっている。少し欠けていても全体像がはっきりしていれば良いが、一体何の一部なのか全く分からない断片しか残っていないことも。

人間の中には何も忘れられない者もいれば何も覚えられない者もいる。どちらも時として羨ましいと思うが、実際にそんな能力を持っていたら、それはそれで苦痛になることもあるだろう。大多数の人はその中間で、どちらかというと記憶力が良い人、どちらかというと忘れっぽい人の両方がいる。もうちょっと物覚えも記憶力が良くなる方法はないだろうか。