肉か魚か

くだらない会話かもしれないが、例えば犬と猫どちらが好きか、かけるのは醤油かソースか、二者択一は人となりを知るのに結構役立つ。肉か魚か、どちらがより好物かという二者択一だったら、数年前まで「肉」と即答していただろう。今なら少し迷いながらも「魚」と答える。 中年になったからだろうか。決して肉が嫌いになったわけではなく、現在でも好きでよく食べていて、恐らく消費総量では肉の方が魚より多い。だが少し質問を変えて、もしこれから一切食べられなくなったら困るというか嫌なのはどちらか、と問われれば、今後一生魚が食べられない方が肉を食べられなくなるより辛い。

英国は海に囲まれているので、海産物がスーパーで売られている。マグロ (tuna) やメカジキ (swordfish) やタラ (cod) やサケ (salmon) などは結構な値段がするし、サバ (mackerel) やスズキ (sea bass) も決して安くない。タイ (sea bream) とスズキの値段は近い。タイは大きな骨があるので、敬遠されるのだろうか。一方近海で穫れるニシン (herring) やイワシ (sardine) は比較的安い。その中でもニシンの開きの kipper は手頃な値段。脂が乗っていて美味いが、かなり塩っぱいのが難点。

この kipper にじゃがいもではなく、米と味噌汁と漬物が欲しかった。ひどい偏見に過ぎないだろうが、魚の開きや干物は年寄りの食べ物⋯⋯私の身体は中年、胃と心は老爺なのかもしれない。