粥と白湯

北海道の言葉に「こわい」というのがある。危害を加えられるかもしれないので近づきたくない、悪い結果を予想して避けたい、不思議・不規則・不気味、という一般的な共通語の意味ではなく、疲れて「きつい」あるいは「しんどい」ということを表す。疲労が溜まり倦怠感があって身体が思うようにならないような状態。

持病だろうか、私は年に数度偏頭痛になる。そして同じくらいかやや少ない頻度で体全体が「こわい」状態になる。軽微な頭痛、消化器系の調子が悪く、場合によっては首や肩が凝って筋肉痛を伴い、異様に疲れてとにかく休むしかない。体がシャットダウンするような感じと表現できようか。過去に医者に相談したこともあるが、心因性なのか、少なくとも身体的な問題に起因することではないらしい。1日寝れば治り長く続かないので、さして心配する必要はないと言われた。

昨日この「こわい」状態になって、全てが億劫になり、食欲も湧かなかった。横になっていると、うとうと浅い眠りにつき、時計を確認すると数時間が経過していた。何かを作る元気は到底なかったが、何も食べないのもよろしくないので、消化しやすい粥を作った。炊飯器は素晴らしい文明の利器である。出来上がった粥にはとろろ昆布と鮭節をかけた。粥である程度水分は補給できるだろうが、それだけでは足りないかもしれないとも思った。コーヒーなんてもちろん茶でさえ飲む気がなかったので、白湯をゆっくり飲んだ。粥と白湯。まるで年寄りの病人である。

今朝かなり楽になったが、まだ万全ではない。ああ、こわいこわい。