以前、片手で持ちかつ操作できるスマートフォンの需要は、今後とも根強いだろうかという趣旨の記事を、このサイトに掲載したが、ここ最近の傾向を見ると、端末の大型化と小型化が進んでいるような気がする。一方では、スマートフォンの画面は段々と大きくなってきている。今度発表された iPhone にそれは当てはまるし、市場に出回っている多くの Android 搭載のスマートフォンも、以前と比べると大きくなっている。タブレット市場に食い込み、電話機能を持つ小型タブレット、つまり「ファブレット」が主流となってきているよう。そして、もう一方では、小型化が進み、腕時計や Google Glass のように、持ち運ぶものではなく身に付ける「ウェアラブル」製品がどんどん発表されている。
大きなスマートフォンは、片手で持ちかつ親指だけで操作できるものではなくなってきている。特に手が小さいとは思わないが、例えば新しく入手した Nexus 5 は、片手で持ってもう一方の手で操作している。写真にあるように、これまで愛用してきた Nexus One と比べると、右隣にある Nexus 5 は一回り大きくなっている。そして片手だけでもって操作することは無理。小型の Nexus One は、片手で簡単に操作できたが、確かに小さい画面だったため、行えることは限られていた。ニュースを読むなら、比較的小さな画面でも良いが、文章を作成したり、写真を編集したりするには、やはり無理があった。そしていくらサイトやアプリケーションを簡素にして、最重要項目を強調したとしても、一画面に表示できる情報量は限られてしまう。その観点からすると、膨大な量の情報を消費する今日では、スマートフォンは一過性のものなのかもしれない。
同時に情報を本当に絞り込み、最も重要な事柄だけを表示したり、通知機能を中心とするスマートウォッチや Google Glass に、ファブレットないしタブレットが連動する使い方が増えるだろうか。これまでのスマートフォンが果たしていた役割が、この2つに分離されると表現しうるだろうか。まだ現時点では、ウェアラブル端末を買いたいとも使いたいとも思わないのだが、今後さらに発達して安くなり、今の携帯電話やスマートフォンのように数多くの人々が保有して利用する世界が訪れる可能性が高い。
スマートフォンやファブレットの特徴は電話でもあることを考えれば、スマートフォンあるいはファブレットの限界は、片手で持ちかつ操作するではなく、片手で持って電話としての機能を果たせるかにあるだろう。でも、これは携帯電話を受話器のように持って耳に当てて使うからであって、イヤホンとマイクの機能が切り離されれば、片手で持って通話する必要はなくなる。すでに無線イヤホンとマイクを使う人も多くいるし、もはや通話は携帯電話ではなく、インターネット上で行うことも多くなっている。つまり、持って通話するという前提が崩れれば、スマートフォン・ファブレット・タブレットの限度は、片手だけで持てる大きさ重さ。タブレット市場が伸び悩むと言われているが、ひょっとしたら数年後、現在のスマートフォンやファブレット市場は、大型化の結果として多くはタブレット市場、そして小型化の結果として一部はウェアラブルに収斂されているかもしれない。
これから、どのような大きさの画面が一般的になるだろうか。このまま大型化と小型化が続き、片手で持って操作するスマートフォンは姿を消すだろうか、それともある一定の利用者層が残るだろうか。将来どのようになっても、様々な環境や画面の大きさに対応できるウェブサイト作成の重要度は、今後とも増すだろう。