新型コロナウイルス感染症 COVID-19 の罹患者が世界中で増えてきていて、不安な人も多いはず。情報を収集するため、インターネットで検索したりウェブサイトを参照にすることもあるだろう。しかし、正しい情報にたどり着けるだろうか。検索者・読者は情報の真贋を見極められるだろうか。
世の中で大きなニュースがあると、必ず故意に誤った情報を流して悦に入る愉快犯、何か裏があると本当に信じて陰謀論を広める者たちが存在する。愉快犯の中には荒唐無稽の陰謀論と知りつつ拡散する者もいる。そのため、インターネットは正しい情報を得られる手段だが、同時に間違った情報で溢れかえっている。SNSの拡散力により、間違った情報が訂正される前に広まってしまい、多くの人がその間違った情報を真実だと思い込むことがしばしばある。
検索エンジンで新型コロナウイルス感染症について探す場合、私なら「site:
愉快犯と陰謀論者の他に、専門知識を有さないのにインターネットやメディアを介した二次三次情報をまとめ、ブログに「コタツ記事」として掲載して、収入を上げようとする人たちもいる。話題や流行になっていることなら、何でも取り上げる。最近暴露された有名人のプライベートや直近にメディアで取り上げられた商品やサービスなど。とにかく読者を増やし、広告で収益を上げることを目的としている。
「ブログ運営やアフィリエイトを中心に」呟き、約21万8千のフォロワーを誇るM氏が以下の2ツイートを投稿した。初心者ブロガー・新人ブロガー向けのアドバイス。ここでの初心者ブロガー・新人ブロガーは医者や研究者ではないだろう。ブログを書いているまたは書きたいと思っていて、でければアフィリエイトで収益を上げたい人たちのことだろう。
【ツイート1】
いちおう書くと、現在はブロガーにとってチャンスですよ。言うまでもなく、コロナです。
初心者ブロガーなら、例えば「コロナウイルスに関する必読記事10選」とかを書けば、かなり読まれやすいはず。もしくは、コロナに関する海外ニュース翻訳など。読まれる記事を書きたいなら、時代の空気を読もう😌
専門知識を有さない初心者ブロガーは、新型コロナウイルス感染症について何をどのように書くべきなのだろうか。「コロナウイルスに関する必読記事10選」などという記事はどのようにまとめるのだろうか。ウイルスに関して専門知識がない人間が、どうやって他の記事を必読あるいは読む必要なしと評価して取捨選択しえるのだろうか。疑問ばかり浮かぶ。そして海外ニュース翻訳も簡単ではない。海外ニュースの発信元の信憑性はどのように判断するのだろうか。翻訳する権利はあるのだろうか。もし医学の専門用語があれば、医療専門の翻訳者でない人が正確に訳せるのだろうか。
【ツイート2】
多くの人は「自分はコロナに詳しくないし…」と思って諦めます。
しかし冷静に考えたら分かりますが、現代に「コロナウイルスに詳しい人」なんて存在しません。今から学ぶだけ。
つまり、新人ブロガーなら「新しいニュース=チャンス」になります。波乗りしないと見えない景色がありますので、乗ろう😌
新型コロナウイルス感染症を様々な観点と専門分野から十分に理解できる人は多くいる。医療従事者、ウイルス学の研究者、疫学や公衆衛生学の専門家⋯⋯新型とはいえ、このウイルスに対して人類がゼロからスタートしているわけではなく、「今から学ぶだけ」というのは暴論ではなかろうか。現在必要なのは、いかに感染拡大を防ぐか、医学・行政・産業が国際的に連携し、専門家の叡智を集結し、社会が努めて冷静に対応することではないだろうか。既に不安が広がる中、新型コロナウイルス感染症を「新しいニュース=チャンス」と捉えて「波乗りするもの」というのは、私には軽薄に映る考え方であり、強い違和感と不愉快を覚える。
このサイトに広告が掲載されているように私はアフィリエイトを否定する立場にはいないし、新型コロナウイルス感染症に関して全く何も書いてはいけないと主張しているのではない。新型コロナウイルス感染症によって外出を控える人が多くなり経済的影響を受けていたり、楽しみにしていたイベントが中止になって残念だったり、行政の対応を批判したり、いろいろな視点から自己の経験や考えに基づいた記事を作成することはできるだろう。しかし、紹介料が手に入る成果報酬型アフィリエイトなら利益相反を明確にすべきであると思うし、新型コロナウイルス感染症に関しては、もし間違った情報を流布した時、最悪の場合、他人の生死に関わりかねないことを肝に銘じなければならない。
もし新人ブロガーがM氏のアドバイス通り挙って新型コロナウイルス感染症について書いたらどうなるだろうか。いくら多くの人にとって現在最大の関心事であったとしても、新人ブロガー全員の記事が読まれることはない。厚生労働省など公的機関のサイトに掲載されている内容をそのままブログ記事にしても、流入は見込めない。そのため、より多くの人に読んで貰おうと差別化を図り、内容をどんどん過激に極端にするかもしれない。内容が正しいかどうかは二の次にして。そのような努力を払ったとしても、多くに人に読まれない限り、ブログで収益を上げることは至難の業。大半のブロガーは僅かな収入を得るだけだろう。
誰もが簡単にそして自由に世に情報を発信できる時代となった。それ自体は素晴らしいこと。でも発信者には発信することと発信する内容の責任が伴うべき。たとえ法的に責任は問われずとも、物書きとして道義的責任は感じないのだろうか。愉快犯、陰謀論者、そして小利を得たい人たちは、他人の健康と命を軽んじても良いのだろうか。