SNS・ブログ・動画共有サービスなどインターネットで多くのフォロワー数を誇り、他人の行動や消費に影響を与える人たちのことを「インフルエンサー」と呼ぶ。数年前から使われていて現在ではかなり浸透した言葉でなかろうか。
インフルエンサーの分野は多岐にわたる。そのため明確な定義はなくややあやふやなところが。ウェブで情報の発信と共有が容易になって、これまでの媒体と違った形で影響力を得た人たちの総称という印象が強い。多くのフォロワーを擁する者全員がインフルエンサーというわけではない。例えばチャンネル登録者数の多い YouTuber 全員がインフルエンサーというわけではない。またテレビやラジオに出演したり事務所に所属して芸能や音楽活動している人がSNSや YouTube を始めて、多くのフォロワーを獲得して絶大な影響力を持っていたとしても、一般的に「インフルエンサー」と呼ばれないだろう。あくまでも「芸能人」や「歌手」として世間に認知されているだろうし、最近は YouTuber も職業として確立している。結局「インフルエンサー」は他に肩書きらしいものを持てない人の肩書きのようにも思える。
英語に affluent と influential を組み合わせた affluential という19世紀に使われはじめた単語がある。裕福 (affluent) で社会的影響力を持つ様 (influential) 引いてはそのような人を指す。それをもとにしたのかもじったのか、ここ数年 affluencer という表現も見受けられる。裕福なインフルエンサー、または裕福であることを演出しているインフルエンサーのこと。衣食住に車に旅行に美容に目を剥くような金額を湯水のように使って優雅な生活を営んでいる人たちがSNS上に存在する。画像映像が中心の Instagram に多い。このようなライフスタイルに憧れる人は憧れるのだろう。
英単語の influence と「インフルエンザ」の influenza の語源は共に中世ラテン語の influentia である。上記の affluencer の他に affluence と influenza 2単語を組み合わせた affluenza という単語も存在する。辞書によって定義がやや異なるが、大まかに過度の物質主義・消費主義で豊かさが個人の精神そして社会全般に与える悪影響のこと。常に新しく高価な物を手に入れようとしたり、そのために働きすぎたりすること。身の丈以上の生活を求めても、心が満たされることがなく、借金やストレスを抱えたり、過労になったり、家族関係に亀裂が入ったりすること。更に豊かになったらなったで、罪悪感を覚えたり、無気力になったり、社会で孤立することなどが挙げられている。
事業で成功したり広告やスポンサー契約などで多額の収入があるアフルエンサーが多いだろうが、中にはどう見ても胡散臭いアフルエンサーが存在する。何やら高級な物に囲まれ豪華な生活をしている、あるいはそのような印象を与えているが、どうやって収入を得ているのか実態が全く見えない人たち。匿名で行動していて、実態どころか実体も見えない場合も。ひょっとしたら虚像ではないのかと疑ってしまう。どうすればインターネットで儲けて豪華な生活レベルを送れるか伝授する指南書を高額で販売するような自称アフルエンサーは最も危険な類だと思っている。このような怪しいアフルエンサーはアフルエンザの症状の一つなのかもしれない。