ジャガイモを柵状に揚げた「フライド・ポテト」を、米語(米国英語)で (French) fries と呼ぶ。英語(英国英語)には、フィッシュ・アンド・チップスとあるように chips という単語がある。ただし chips と呼ばれるのは、一般的に小太りのふかふかしたもので、マクドナルドにあるような細長くサクサクあるいはちょっとカリカリしたのとはちょっと違う。英語でも細長いフライド・ポテトは fries と呼んで差し支えないし、英国のマクドナルドのメニューを見れば fries として販売されているが、太めのは chips であって fries でない。また、英国であれば小太りと細長い両方のフライド・ポテトを chips と言っても、大概理解されるだろう。
近くの Marks & Spencer というスーパーでは、小太りと細長いフライド・ポテトを区別して売っていた。小太りのフライド・ポテトは chunky chips で、細長いのは frites として。形容詞の chunky は「分厚い」ことを強調している。それだけ中がほくほくしているということだろう。一方の frites はフランス語。なぜ fries としなかったのか興味あるところだが、語感として frites の方が fries よりも高級感があるせいかも。ちょっと思い起こしてみると、ロンドンの街中のレストランでは steak-frites という料理がよくメニューに載っている。フランス料理店ならまだしも、なぜだか英語で非常にわかりやすい steak and chips と呼ばずに、フランス語で気取っている英国・多国籍・無国籍料理レストランも多い。商品名・料理名として frites は市民権を得ているかもしれないが、通常の会話で frites と言ったら、フランスかぶれか気障な言い回しと思われてしまうのが落ち。
同じくジャガイモを揚げたものだが、小太りと細長いフライド・ポテトは、微妙に違うような気がする。時々無性にマクドナルドの fries を食べたくなる。そんな時に chips は代替とならないし、逆に chips に塩と酢をかけたのを食べたくなるときは fries では物足りない。差をつけるためには、違う名で区別するのが一般的。英語で小太りフライド・ポテトが chips なら、細長いのは米語の fries が定着するだろうか、それともそのうち仏語の frites にでもなるだろうか。