英語とフランス語を学習する人にとって面倒なのが、両言語で綴りが全くあるいはほぼ同じなのに意味が違う単語。このような単語のことを false friends / faux amis と呼ぶ。意味が微妙に似ていることもあるが、それはそれで混乱を招く。例えば英語で library は「図書館」だが、フランス語の librairie は「本屋・書店」というように。しかし図書館も書店も本に関係するので、何となく分かるような⋯⋯。ちなみにフランス語で「図書館」は bibliothèque だ。
英語の deception とフランス語の déception の綴りはほぼ同じだが、意味は全く違う。英語の deception は「騙すこと・嘘・誤魔化すこと」だが、フランス語の déception は「失望・落胆・残念」で、英語の disappointment にあたる。
日本の中学校・高校にあたる年齢に英国の学校で英語をもとにフランス語を習ったので、フランス語の新聞記事を読んだりラジオを聴いていると、脳内で仏英翻訳していることが多い。フランス語の読解力聴解力はあまり良くなく、フランス語のまますんなりと理解できず、どうしても英訳してしまう。
フランスのラジオを聴いていたら Daft Punk 解散のニュースに触れていて、ファンにとっては大変残念なこと (grande déception) かもしれないが、個々の新しい芸術活動の始まりでもある、というような主旨のコメントがあった。少なくとも私の怪しいフランス語の聴解力ではそう理解した。 文脈から déception が英語の deception と同義でないことは明らかだったが、咄嗟に思い出せず、ラジオがどんどん先に進んでしまい、追いつけなくなった。