Emissiounen lauschteren

外出制限がされていて、暇というか、何もしていない、何もしたくない時間、以前に増して家でラジオを聴くようになった。言語学習という名目で聴くこともあるが、実際には時間潰し。インターネットで多くの国や地域のラジオを聴取できるのは便利。言葉を習うのに色々な仕方があり、どの学習方法が一番合っているかは人それぞれだが、ラジオで学ぶのも一つの選択肢。ラジオは音声のみで映像に頼ることができないので、アナウンサーもパーソナリティーも滑舌が良くて聴き取りやすい人が起用される。そして現在の「生きている」言葉に触れることができる。

英語の他にドイツ語は理解できる。フランス語とオランダ語は何の話題についてか何となく分かる程度。ラジオだったらフランス語の方がオランダ語よりまだ分かるかもしれないが、辞書なしで新聞や本を読むとしたら、恐らくオランダ語の方がフランス語より理解できる。フランス語は学校で習ったはずなのに、語彙が少ないのが問題。一方オランダ語は学校で習ったことはないが、大学でドイツ近世史の研究をしていて、近世の低地ドイツ語や近世オランダ語の史料などを読み込んだことで身についた。基本的にオランダ語は読めるが、話すことはできないし、聴解力もそう高くない。何もかも中途半端で駄目駄目⋯⋯。

ほぼ毎日ドイツ・フランス・オランダ・ベルギーの公共放送局の短いニュースを聴く。やはりどの国でも一番大きなニュースは新型コロナウイルス感染症。移り気な性格なのか、違う言語のラジオを聴いてみようといろいろ探していたら、20年以上前に1年間住んだことのあるルクセンブルクのラジオ局に辿り着いた。住んでいた当時ルクセンブルク語は習わなかった。フランス語とドイツ語で一杯一杯だったため。ルクセンブルク語はドイツ語に似ているようで似ていない。ドイツ語を解するだけでは分からないだろう。語彙はフランス語からの借用が多い。でもドイツ語とフランス語に加えてオランダ語の知識があれば、何となく分かるはず。例えばラジオの「番組」は Emissioun でフランス語の émission だ。複数形はドイツ語のように -en が語尾に接されて成しているので Emissiounen になる。ラジオを「聴く」のにクリックしたリンクは lauschteren で、オランダ語の luisteren に似ている。

ドイツ語で「ワクチン」は一般的に Impfstoff で「ワクチンを接種する」という動詞は impfen である。ルクセンブルク語のラジオを聴いたかぎり、動詞はドイツ語同様 impfen だが、名詞の「ワクチン」はフランス語やオランダ語と同じく Vaccin のよう。ワクチンに関するルクセンブルク語の複合語はドイツ語のように Impf- という形。話題になっている「ワクチン接種証明書」は Impfpass, Impfcertificat で、ドイツ語の Impfass, Impfzertifikat と一緒。基本的にルクセンブルク語を母語とする人は、ルクセンブルク語・フランス語・ドイツ語のトライリンガルなので、独仏どちらの言葉から借用しても問題がないのだろう。

調子に乗って他の言語はどれだけ聞き取れるのか、試したところ、イタリア語のラジオは全く分からなかった。数分のニュースで理解した単語は camorra, mafia, incarcerare だったので、マフィア構成員が捕まって拘留か拘置されたのだろう⋯⋯。