先日フランス語の新聞の見出しに gazoduc という単語があった。ロシアとドイツを結ぶバルト海底の天然ガスのパイプライン Nord Stream 2 に関する記事だったので、すぐに gazoduc が「ガス・パイプライン」を意味することはわかった。辞書で調べると似たように「石油パイプライン」は oléoduc で、両単語ともそれぞれ「ガス」と「石油」を意味する gazo-, oléo- に duc を付け加えたことになる。主にローマ時代の水道関連の建造物を意味する acqueduc を基に20世紀に成立した単語。16世紀に acqueducte, acqueduct という記述があり、元々はラテン語の acquae ductus だ。
英語でもローマ時代の水道橋などの建造物は aqueduct と呼ぶ。ガスや石油のパイプラインは pipeline だが、「導管」を意味する単語として duct が用いられる。日本語でも主に空調の導管の風導管を「ダクト」と言う。語源は上記ラテン語の ductus だ。フランス語で英語の duct にあたるのは conduite, canalisation なので、何かややこしい。