最近ルクセンブルク語のニュース記事を読んでいる。仏独蘭3言語が混ざっているのが、興味深いというか面白いというか。それとも単に暇なのか⋯⋯。
昨日の道路交通情報の一部を例文にしたい。
(1) Chantier op der A13 a Richtung Péiteng, hannert dem Tunnel Éilereng. Riets Spuer gespaart. Stau.
(2) Accident op der A13 a Richtung Péiteng am Tunnel Éilereng. 4 Autoen. D’Iwwerhuelspuer ass blockéiert. Oppassen. Stau.
地名を原文のままにして簡単に訳すと⋯⋯
【1】A13号 Péiteng 方面 Éilereng トンネル後で道路工事。右側車線規制中。渋滞。
【2】A13号 Péiteng 方面 Éilereng トンネルで事故。車4台。追越車線が通行不可。注意。渋滞。
「道路工事」と「事故」をそれぞれ意味する chantier と accident はフランス語だが、他はドイツ語やオランダ語に似ている。ドイツ語の auf がオランダ語の op にあたるのと同様にルクセンブルク語でも op になる。そのため「A13号上」を指す op der A13 は、ドイツ語の auf der A13 やオランダ語の op de A13 とほぼ同じ。A13号はルクセンブルク南部、ドイツとの国境の Schengen とベルギー・フランスの2国との国境近くの Péiteng / Pétange の間を東西に結ぶ高速道路。ルクセンブルク語で「A13号〇〇方面」は A13 a Richtung . . . だが、ドイツ語だと単に A13 Richtung . . . となる。フランス語では方向を示すのに sens 始点の地名と終点の地名、あるいは sens nord-sud のように北から南など東西南北の方角を用いる表現が一般的だと思う。この場合、地名を利用すれば sens Schengen-Pétange となる。唯一さっと分からなかった単語が hannert で、ドイツ語の hinter またはオランダ語の achter にあたるのだろう。
次の riets Spuer は「右側車線」を意味する。ドイツ語に Fahrspur という単語もあるが、恐らく Fahrstreifen の方が一般的で「右側車線」は rechter Fahrstreifen になる。オランダ語では rijstrook が「車線」を指す。ルクセンブルク語の gespaart はドイツ語の動詞 sperren の過去分詞 gesperrt と同じで「遮断された・封鎖された」という意味。この場合は車線の規制を表す。ルクセンブルク語でもドイツ語でも「渋滞」は Stau だが、オランダ語では file だ。
例文【2】は例文【1】と似ている部分が多いので、最初の文には触れない。事故現場はトンネルで、玉突き事故だろうか、4台の車がかかわっていた模様。ルクセンブルク語の iwwer はドイツ語の über やオランダ語・英語の over にあたる。そのため Iwwerhuelspuer はドイツ語の Überholspur に似ていて「追越車線」を指す。この車線は ass blockéiert とルクセンブルク語ではなっている。ドイツ語であれば ist blockiert になり「塞がれた・遮られた・止められた」ということ。すなわち通行できない。このような状況だと注意喚起が必要であり、そのため oppassen とあり、オランダ語と同じ綴りでドイツ語であれば aufpassen が同義語。なおドイツ語で「注意せよ」は Achtung! である。
ルクセンブルク語を読むのは、仏独蘭各語の単語を覚えるのに役立ちそうだ。各言語の共通性や関連性そして差異を見出すことによって、より覚えやすくなるような気がする。