ドイツの公共放送MDR (Mitteldeutscher Rundfunk) の YouTube チャンネルを見たら
Pleitewelle im Mittelstand
というサムネイルの動画があった。訳すと
中小企業に倒産の波
になるだろうか。単語 Pleitewelle は「倒産」を意味する Pleite と「波」を意味する Welle を組み合わせたもの。
2023年から中小企業の倒産件数が増えつづいているという内容だった。今年に入ってから更に増加傾向にあるという。インフレによる原料費や光熱費や人件費の増加、個人消費の冷え込みや企業の設備投資の減少、そして他の会社が倒産して売掛金が回収できないなど様々な理由がある。これはドイツだけではなく、現在世界中で起きていることだろうか。
Mittelstand は「中間」を意味する接頭 mittel に「身分・階級・等族」の Stand が続く単語で、一般的に中小企業の経営者層を指す。従業員が数百人規模の企業から町工場や家族経営の店まで。英語の SMB / SME (small or medium-sized business / enterprise) にあたる。また Mittelstand は個人事業主を含む。みなし個人事業主を含む広範なフリーランスというよりも、いわゆる師士業、例えば開業医や弁護士を思い浮かべた方が良いかもしれい。主に経済活動の形態で定義される。
中流階級つまり英語で言うところの middle class は Mittelschicht だ。接頭 mittel と「層」の Schicht から成る。何をもって中流とするか難しいところだが、所得や職種や学歴や教養など一般的に社会的に分類される。上記を踏まえると、大企業の給与所得者や公務員は Mittelschicht かもしれないが Mittelstand ではない。ただこのように Mittelschicht と Mittelstand に明確な差が出てきたのは、比較的最近の流れかもしれない。20世紀末に出版された手元の辞典を調べると Mittelstand が社会的中流として定義されていて Mittelschicht は載っていなかった。