もし世界情勢を知りたくてヨーロッパの新聞1紙のみを情報源とするならば、どの新聞を選ぶだろうか。英国の日曜紙か、フランス語が得意であれば Le Monde を挙げるだろうか。私はフランス語の読解力が低いので、英語かドイツ語になる。英独語の新聞のいずれかであれば、スイスの Neue Zürcher Zeitung を選ぶだろう。幸いに PressReader というサービスで読むことができる。
昨日2021年3月18日付の Neue Zürcher Zeitung の第1面に、 菅首相とブリンケン米国務長官の写真が掲載され、米国が東アジアで日韓と結束を固めて中国を牽制する方針だという記事が載っていた。第1面にはもう1本欧州連合のワクチン接種証明書についての記事が。第4面が全面広告だったが、それ以外の第2〜7面は国際面で、非常に充実している。
変な箇所に注目したと思われるかもしれないが、第1面の記事を執筆した Martin Kölling 氏は北朝鮮を kommunistische Familiendiktatur と表現していた。なるほど「共産主義で一族による独裁」とでも言えるだろうか。さっと調べたところ、この kommunistische Familiendiktatur という表現は北朝鮮そしてルーマニアのチャウシェスク政権についても用いられていた。名目では共産主義の国家を眷族で私物化している。尤も北朝鮮では一族でも暗殺や粛清の対象になるが⋯⋯。
北朝鮮は特異な政治体制。個人の力によって樹立された独裁体制が最も不安定になるのは、世代交代の時だろう。北朝鮮は王朝のように父から子へと2回交代に成功しているが、東アジアの安定・平和・繁栄を脅かす存在。どうにかならないだろうか。