今日2021年10月2日のロンドンの天気は雨。午後1時から9時まで大雨と暴風注意報 (yellow weather warnings for rain and wind) が発令されている。外出する予定もなかったが、紅茶を飲みながらゆっくり新聞を読むことにした。
Rheinische Post
2021年10月2日 第1面
Warnung vor Morden durch „Querdenker“
Christian Schwerdtfeger
2021年9月18日 Idar-Oberstein にあるガソリンスタンドの従業員が射殺されるという事件があった。この従業員は、マスクを着用していない客に着用義務について再三注意したところ、殺害されてしまった。犯人は Querdenker を名乗る新型コロナウイルス感染症に関する陰謀論を信じる人間だった。 ドイツ基本法(憲法)にある自由な民主(主義)的基本秩序 (fdGO: freiheitlich-demokratische Grundordnung) を脅かす者を対象にする情報機関である憲法擁護庁 (Verfassungsschutz) によると、今後 Querdenker が過激化して似たような事件を引き起こす可能性が十分にある。SNSではこの殺人事件を正当防衛や開放闘争だという発言があるらしい。今後新型コロナウイルス感染症の状況が好転すると Querdenker や似たようなグループの Corona-Rebellen のメンバーは、新型コロナウイルス感染症以外の事案で国や当局を批判するようになるだろうともこの記事にある。根本に今の基本秩序の否定があるのだろう。
Querdenker は既成概念や理論に囚われない「水平思想者」とでも訳せるだろうか。囚われないどころか既成概念や理論を全否定して、自分たちが信じていることこそ正義であるという考え方。このような陰謀論を信じる人たちは、現在の社会や政治に対して不満を抱いているのだろう。完全に一致するわけではないが、極右主義や暴力を肯定するような人々と重なる。
Neue Zürcher Zeitung
2021年10月2日 第5面
Haiti versinkt definitiv im Chaos
Thomas Milz
7月に大統領が暗殺されて、8月に地震に見舞われたハイチ。状況は更に悪化している模様。この記事によると、ガソリン不足が深刻になっていて、闇市場では公定価格の4倍で取引されている。治安が悪化して誘拐も増加。武装集団が実効支配している場所も多い。そして11月7日に行われるはずだった大統領選挙・議会選挙・憲法の国民投票も延期。労働組合はゼネストを行う予定。ハイチはこのまま失敗国家になってしまうのだろうか。
Washington Post
2021年10月2日 第A1・A10・A11面
In Yemen, a pivotal battle takes a brutal toll
Siobhán O’Grady, Ali Al-Mujahed
長い間続いている紛争にイエメンの内戦が挙げられる。イエメンの状況は数多くある人道危機の中でも最悪だという見方も。国際的に認知されていてサウジアラビアの後援を受けるイエメン政府と、イランが後ろ盾になっているフーシ派・フーシー派とも字訳されるホーシー派が、マーリブという場所を巡って攻防戦を繰り広げている。マーリブを守る立場にあるイエメン政府軍はサウジアラビアの空軍力を頼りにしていて、奪取を目指すホーシー派の軍はミサイルやドローンで攻撃を繰り返している。ホーシー派としてはマーリブを奪って実効支配すれば、停戦や和平交渉で有利な立場になるし、イエメン政府にとって失えば大打撃になる。両軍とも多くの死傷者を出しているが、マーリブ攻防戦が終わらないと交渉にならないのではないかと言われている。現地からのリポートで、当たり前のことだが紛争の悲惨さが際立つ。
久しぶりにゆっくり時間をかけて上記以外の新聞記事も多く読んだ。考えても上手く表現できずここに記すことすらできないのがもどかしいし、得た情報も忘れてしまうだろう。そして毎回のことだが、どれだけ自分が無知か思い知らされた。