ウクライナ情勢

北京で冬季五輪が始まったが、英国メディアではあまり大々的に取り上げられていない。夏季五輪と比べるとメダルの期待ができないためだろうか。

前回中国でオリンピックが開催された2008年夏、ロシアとジョージアの間で軍事衝突があり、南オセチアとアブハジアがロシアの支援を受けて実質的にジョージアから独立した。今度はロシアとウクライナの間で緊張が高まっている。ロシアが近々ウクライナに侵攻するのではないかと言われている。ロシアが軍事行動を起こす可能性は十分にありうるが、武力に訴えて何を成し遂げられるのかという疑問が残る。

もし戦争となったら軍事的にロシアが勝つだろう。だがロシアはウクライナ全土を制圧して占領できるだろうか。そして占領しつづけられるだろうか。親露派が多いクリミア半島やウクライナ東部とは違い、例として傀儡政権を樹立してもウクライナの市民の支持は得られないだろう。軍事的勝利は必ずしも外交的政治的勝利に繋がらない。つまりロシアは何を最終的に目指していて、その目的達成に軍事力行使は最善の方法なのかはっきりしない。

ロシアがウクライナに侵攻した場合、米国の対露外交は強硬になり、NATOの結束が強まり、東欧やバルト3国のロシアへの警戒は高まるだろう。ロシアの安全保障という観点から必ずしも得策ではない。しかしここまで緊張を高めて、西側諸国から何ら譲歩を引き出せずに国境付近から軍を撤収すれば、ロシア・プーチン大統領の面子は潰れてしまう。

プーチン大統領のみならず多くのロシア人は、ウクライナとベラルーシはロシアの影響圏・勢力圏にあるべきという意識がある。直接ロシアの支配下になくても、ロシアの不利益になることは許されるべきではないと考える。言い方を変えると、真の主権国家として認めず、対等な独立国家として尊重しない。

落とし所はあるだろうか。