開催地がカナダということで時差もあって、これまであまり女子サッカーのワールド・カップの試合はテレビで観ていなかったが、現在の世界ランキング1位対3位の対決となった、ドイツ対フランスの準々決勝を観戦した。今大会これ以上の素晴らしい試合はあるだろうか、事実上の決勝戦だったのかもしれない。90分の時点で1対1と同点、その後の30分の延長でも決着がつかず、ドイツ先攻のPK戦で9人中9人が決めたあと、10番目のフランスの5番手が外して、ドイツが準決勝に進んだ。
試合内容からすると、フランスの方が優れていたと思うし、この時点で敗退してしまったのは非常に残念。前半はほぼ一方的にフランスが攻めていた。果敢で技術的に優れた速攻が印象深かった。前半1分には Nécib 選手に絶好の機会があったし、全般にパス回しがよく、個々の選手の技量は高く、セカンド・ボールでも競り勝つなど、前半はフランスがほぼ圧倒していた。でもゴールはなし。とにかくゴールを決める絶対的ストライカーという存在はなかった。そして、いくら良い内容であったとしても、結果を出すことが大事。実力が伯仲していたり、あまり差がない場合、一方のチームが試合全体を通して完全に主導権を握りことはまれ。そのため、フランスは機を逸したのかもしれない、と前半終了時危惧したが、後半冒頭もフランス優勢で、ついに64分に Nécib 選手が先制ゴールを決めた。この後、フランスは Thomis 選手を交代したため、サイドで速攻のカウンターあるいはドイツを押さえ込むことがあまりできず、じりじりと後退した。ドイツは全体的に前に進めるようになったし、シュートも放ったが、決定的と呼べそうな機会はあまりなかった。しかし、84分に、右からのクロスがペナルティー・エリア内でフランスの守備選手の手に当たり、ハンドボールという判定。故意のハンドボールには見えなかったので、微妙な判定だっただろう。ドイツの Šašić 選手が落ち着いて決めて、1対1となった。延長戦も最後でフランスの Thiney 選手に決勝点を決める絶好の機会があったが、オフサイド判定になると思っていたのか、ゴールから逸れてしまった。そしてPK戦でドイツが準決勝進出となった。
トーナメント方式の大会で強いのは、試合内容が悪くて苦戦しても、しぶとく勝てるチームであり、この試合においてのドイツはそんなチームだった。