もう決勝の日を迎えてしまったが、準決勝の2試合と3位決定戦について。どうも審判の誤審や微妙な判定が話題となったし、PKがかなり多かった。
ドイツ対米国の試合はPKが転換点となった。ドイツがまず外し、米国が決めた。ただ、米国が得たPKはエリア外のファウル。しかし、米国の2点目は文句なしの素晴らしいゴールを決めたので、結果は試合内容を正当に反映していると考えて差し支えないだろうか。ドイツは前の試合でフランス相手に大苦戦していて、米国に対しても有効な攻撃を仕掛けることができなかった。ドイツも米国も似たようなチームだが、米国の方が素早く、個々の選手のプレーの精度が高かったように見えた。
日本対イングランドもそれぞれPKで1点。決勝点となったのは、後半終了間際のオウン・ゴールだった。あの場面では、イングランドのミスというよりも、カウンターからの川澄選手の完璧なパスを称えるべきだろう。自陣ゴールに向かって走っている中で、蹴り出さなければ、大儀見選手にボールが渡っていただろうから、結果として不運であったが、イングランドの Bassett 選手の判断は正しかった。イングランドのサッカーは、単純と言えば単純、明快と言えば明快。前に長いパスでボールを上げて、両翼からのクロスや、良い位置でのセット・プレーから得点を狙う作戦。1点2点を争うゲームなので、結構有効で選手の能力を最大限活かす作戦。しかしこの作戦は持久力を必要とし、守備も機能しなければならず、セカンド・ボールをどれだけ勝ち取るかにもより、決して易しいわけではないので、評価されるべき。また、比較的遠い地点からシュートを放ってクロスバーを直撃したりと、違う日だったら、イングランドはゴールを決めていたかもしれない。日本はボールを保持する点では良かったが、どうも攻めあぐねていた。もうちょっと速く球を回すべきかもしれないし、幅をもっと有効に使うべきかもしれない。横へのパスが多く、縦のパス、中盤と前線、つまり相手の守備と中盤の間の空間に入り込むべきなのかもしれない。味方がボールを持っている時に、他の選手がどのように動いているのか、テレビには映らないが、上がったり下がったり、相手の守備選手に常に、付いていくのかそれとも空間を守るのか、判断を迫る動きが必要となるだろう。頭上を超える長いパスで空間を作るのではなく、短いパスを回して空間を作るので、高速度と高精度を要する。どれだけ完全に近くなれるかが決勝戦の鍵となりそうだ。守備の型は安定していて、決定的に崩された場面はなかったが、米国を抑えるには、集中力を試合中維持しつづけることが重要になるだろう。まだ、完全には遠い状態だが、それでも決勝まで進出したのは、勝負強さと強運を物語っている。
ドイツ対イングランドの3位決定戦は、延長時間にあったPKでイングランドが勝利。ドイツは攻撃の形は良かったし、好機も数回あったが、決定力に欠けたし、イングランドの守備の堅さに阻まれた。延長に入り、疲れた選手の姿が目立つようになり、PKも守備選手の疲労の現れだったかもしれない。ドイツにしてみれば、ヨーロッパの代表同士の対決で負けたのは、残念だろう。イングランドにとって、大躍進の大会となり、これから女子サッカーへの注目度が高まるだろう。