試合開始16分以内に4点取られてしまうと、もう勝負にならない。日本の完敗であり、開始早々にセット・プレーから2点も取られるのは、守備がいかに粗略だったかを示していた。非常に悪い負け方を体現してしまった。米国にはゴールを決める能力を持つ選手が揃っているので、ゴールを狙える場所で隙と時間を与えてはいけないことは、監督にしろ選手にしろ事前に分かっていたはず。個々の選手のミスを挙げるよりも、対戦相手をしっかり分析して、基本的な守備体制を練ることに失敗したようだった。世代交代もあるし、世界で女子サッカーのレベルが高くなってきているので、日本代表としてしっかりとした守備体制を作ることは、今後の大きな課題として残るだろう。あまりにも悪い負け方だったので、今後尾を引くようなことがなければ良いのだが、チームとして立ち直るには時間がかかるかもしれない。
澤選手はピッチ上の空間を読む能力に長けているので、投入後は守備において中盤が安定したが、すでに遅かった。日本は2得点で、1点はオウン・ゴールだった。強いて良い点を挙げるとすれば、日本の1点目の大儀見選手のゴールは見事だったし、いつもながら宮間選手のボールを捌く能力はやはり光っていた。日本には幾つかゴールの機会はあったが、4点リードあるいは3点リードされている試合の流れでは、どうにもならないし、守備の脆さから更に失点していたかもしれない。無論「もし」は禁句だが、澤選手と岩渕選手が先発していたならばとも思う。おそらく、そんなに点差のついた試合にはならず、後半途中にこの両選手を投入する予定だったのだろう。澤選手と岩渕選手は、日本代表の他の選手が持っていない能力を有している。前述通り、澤選手の存在は中盤の空間をしっかりと抑えて安定感をもたらすし、岩渕選手にはドリブルで対戦相手の守備選手数人を短い時間に無力化して空間を作り出す力が備わっている。ただ、岩渕選手の能力を現在の日本流サッカーにおいて、どのようにすれば上手に使えるのか、監督の手腕が問われるところ。
この日、この試合、日本は負けるべくして負けた。日本を応援する身として、またサッカーを観ることが好きな人間として、非常に残念な試合となってしまったが、捲土重来を期してほしいところ。