2015年ラグビーW杯

日本対スコットランド&イングランド対ウェールズ

少し遅れてしまったが、ラグビーW杯の日本対スコットランドとイングランド対ウェールズの試合について。

南アフリカに勝った日本だったが、次のスコットランドとの対戦では、後半に続々とトライを決められてしまい、10対45で負けた。主力選手だったマフィ選手の負傷が響き、そして前試合の疲労が出てしまったのだろうか。前半の20分過ぎた地点から前半終了時まで、そして後半開始直後の数分は良かったが、点を取ることができなかった。スポーツの試合中、チームには栄枯盛衰と言ったら大袈裟だが、勢い良く波に乗ることがある時間帯もあれば、逆に何事も難しく対戦相手に押し込まれる時間帯もある。サッカーにもラグビーにもそのような波がある。その波に乗っている時に得点できないと、どうしても厳しい試合となる。日本のラグビーはどちらかと言うと繋ぐラグビーであり、蹴るラグビーではない。ラグビーは陣地取りのような面もあり、ボールを蹴って自陣から距離を作るのも、試合中の駆け引きの一つ。蹴らない場合、走って繋いで立って前に進む必要があるし、自陣でボールを失えば、相手に得点の機会を与えてしまう。ラグビーではちょっとした齟齬やミスが相手の得点に結びつくので、それだけ動きとパスに精度を要する。南アフリカとの対戦では、ほぼ全てをうまく運べたのに、スコットランドとの対戦では、そうではなかった。スコットランドに負けて、日本は自力で8強進出を決めることはできなくなった。スコットランドと南アフリカの今後の試合結果、特にスコットランドと南アフリカの直接対決にもよるが、日本はサモアと米国に勝ったとしても、グループ3位に終わる可能性が高い。

今回のワールド・カップで「死の組」と呼ばれているのがA組。開催国イングランド、ラグビーが国民的スポーツであるウェールズ、そして南半球の雄オーストラリアの3カ国がひしめく。この強豪国が揃う組から8強進出を決めるには、三つ巴の戦いで誰が誰にどのように勝つかが重要となり、この3者の最初の直接対決はイングランド対ウェールズだった。ウェールズは怪我で主力選手を大会前に失ってしまうという厳しい状況で、前評判ではイングランドとオーストラリアに戦力として劣るというのがもっぱらだった。前半は16対9とイングランドのリードで終わり、後半も一時はイングランドが10点差をつけたのだが、ウェールズはペナルティー・ゴールで追い上げて、トライも決めて同点として、75分に49メートルという距離からのペナルティー・ゴールで28対25とリードして、結局この3点差を守り切った。イングランドには試合終了数分前にペナルティー・ゴールで同点を狙う機会があったのだが、南アフリカとの対戦したときの日本のように勝負に出た。しかし、ウェールズの守備の前にトライを決めることはできず試合終了となった。ウェールズは8強進出へ大きく前進。一方イングランドは8強進出のためにはオーストラリアに勝つ必要があるだろう。

ラグビーを観ていて、試合状況を把握するのに、3と7が重要な数字となる。これはペナルティー・ゴールあるいはドロップ・ゴールで3点、そしてトライ5点にコンバージョン・ゴール2点で合わせて7点になるため。3点差であれば、ペナルティー・ゴールで追いつけるし、7点差ならトライとコンバージョン・ゴールで追いつける状況。逆に8点となるとトライとコンバージョン・ゴールだけでは追いつけないので、負けている側にすれば試合の残り時間が少ないとかなり厳しい状況となる。リードしている側にしても、8点あるいはそれ以上の差をつけたいところ。一挙に追いつかれるような場面で、反則やミスを犯して、相手に得点の機会を与えてしまうと、試合の流れが変わってしまうこともあるから。観戦している身としては、僅差で最後まで両チームに勝利の可能性がある試合展開が一番面白い。もっとも、どちらかのチームを応援している場合は、できるだけ早く大きくリードしてもらいたいと思うだろうが。

明日の3試合はそれぞれ面白そう。日本対サモア、スコットランド対南アフリカ、そしてイングランド対オーストラリア。少なくとも明日の時点で、AとB組から8強進出が確実あるいは濃厚となるチームが出てくるだろう。