EURO2016

フランス対ルーマニア

この先どれだけ続くか全く自信はないが、昨日開幕したEURO2016の試合をテレビで観た感想を書いていこうと思う。前回のEURO2012と2014年のワールド・カップのテレビ観戦日記も三日坊主となってしまったし、多分今回もそういうことになるだろうが⋯⋯。

テロの影とストライキという状態の中で始まった開幕試合は、開催国フランスとルーマニアの対戦。代表が勝つことは、現在のフランスを覆う憂鬱な雰囲気を良くするだろう。チームにとって、その期待は奮起する理由にもなれば、重荷にもなるだろうか。

立ち上がりはルーマニアの攻撃の方が冴えて、開始早々に先制点の機会があったがフランス・GK Lloris 選手がセーブ。前半はちぐはぐしていたと呼べばよいだろうか、両チームとも波に乗れなかった。ルーマニアは、試合を通して、ラインを上げ中盤を圧縮する形で、プレッシングをかけていた。作戦としては、大体成功していたと思う。ラインを上げるということは、対戦相手の中盤の有能な選手が前へのパスを出せないようにしなければならない。もしパスが出れば、守備ラインと中盤選手全員が一気に無力化されてしまう危険性が伴い、ゴールへ向う相手選手を阻止するのが難しくなるため。フランスには、ボールを前方そして左右に上手に振り分けることができる Pogba 選手がいるし、守備選手の前にいる Kanté 選手のような存在があるので、一瞬の油断もできない。徐々にフランスの連携プレーがよくなってきて、数回 Griezmann 選手と Giroud 選手に好機が訪れたが、得点には至らなかった。

前半を0:0で折り返した後、後半も最初の数分はルーマニアが押す展開だった。しかし、徐々にフランスが攻撃のリズムを掴むようになった。中心的な役割を果したのが Payet 選手。左右両翼に精力的に動き、右からのクロスに Giroud 選手が頭で合わせてフランスが先制点を挙げた。何かしらスタジアム内に漂っていた重苦しい空気というか若干な焦燥感を払拭したかに見えた。ただ、その後、ベテランの Evra 選手がペナルティー・エリア内でファウルで、ルーマニアにPKを与えて、65分1:1の同点に。どうもこのまま引き分けで終わりそうな試合展開だったが、89分に Payet 選手が豪快なシュートでゴールを決めた。ルーマニアの守備選手が何人も周りにいたのだが、僅かなシュートの機会つまり空間と時間を見出して、左足で振り抜いた。素晴らしいゴールだった。

開催国の調子が良いと大会も盛り上がるだろうし、2014年のワールド・カップのフランス代表のサッカーの印象が良かったこともあり、フランスにはどんどん勝ち進んでほしいと思っている。ただ、この試合だけで言えば、勝ったものの、問題点が浮き彫りになった。フランスには守備に脆さがありそう。グループ・ステージはともかく、16強に進出したら強豪国が対戦相手になるだろう。その場合、試合中に守備選手が空間を把握して適確に動き、相手の攻撃を封じ込めることができるだろうか。セット・プレーの守備にも危うさがあった。また、諸事情あって Benzema 選手を欠いているチームで、攻撃の主軸の型がまだよく分からない。堅守で空間を狭めるルーマニアが対戦相手だったせいかもしれないが、両翼ではなく前線と中盤の間に上がったり下がったりする動きがもっと必要な気がする。

これから良いサッカーの試合があり、ピッチ上のサッカーだけが話題となる大会となれば、それが最良だろう。