スコットランド・エディンバラの玄関口であるウェイヴァリー駅から、コックバーン・ストリートという坂道を上ると、カフェが何軒もある。そんなカフェの一軒の壁にこのようなものが掛けられていた。
訳せば「今日は人間からフライド・ポテトを奪ったカモメよりも幸せに生きよう」とでもなるだろうか。何事も「積極的に楽観的に捉えようよ」とでも呼びかけているのだろう。鳥に詳しい人ならば区別するだろうが、英語で gull または seagull はカモメ科カモメ亜科の鳥の総称。カモメもウミネコも gull または seagull となる。英国でカモメは人の食べ物をよく狙う動物だと思われている。
カモメはロンドンでもよく見かけるので身近な存在。テムズ川の水位は北海の潮の満ち干きで上がったり下がったりするので、海鳥がいても不思議ではない。ロンドンの鳥というと鳩が有名だろうか。烏もいないわけではないのだが、住宅街だと鵲の数の方が多いと思う。
閑話休題。
海辺に行くと必ずと言ってよいほど見かけるカモメなので、様々な場所で見かけたことがあるが、印象に残っているのはサンフランシスコ。2011年・2013年・2015年と3回行ったのだが、街を歩いていると、カモメをよく見た。まるでカモメに監視されているような気がするくらい。
観光客で賑わうフィッシャーマンズ・ワーフでは、多くの人がベンチに座って、陽光と海風を浴びながら、サンドイッチや魚の揚げ物を食べていていた。周りにはカモメが屯していて、虎ではないが、鋭い目つきで眈々と人間の食べ物を狙っていた。恐れもせずに人間に近寄り、食べ物を奪おうと試みていた。群れをなして。
突然悲鳴が上がった。振り向いてみると一羽のカモメが紙皿の端を捉え、引っ張って、ひっくり返していた。食べ物が散乱した。またたく間に周りのカモメ十数羽が集まり、数十秒後、落ちた食べ物はカモメに食べつくされ、つかの間の平安が戻った。カモメたちは次の機会を狙うべく目を光らせていた。
他にもアルカトラズ島やフェリー・ターミナルでもカモメがいた。ロンドンで見かけるカモメよりも一回り大きいような気が。大きいため、なんとなく獰猛に目に映った。
目つきの悪いサンフランシスコのカモメと再会するのはいつになるだろうか。