ウィンブルドン・テニス選手権は2週間に渡って開かれる。最初の数日間は、多くのコートで試合を観戦することができるので、飽きることがない。近くに住んでいることもあり、2回ウィンブルドンに行ってみた。入場の列は Wimbledon Park 内にできる。最寄り駅は District 線の Wimbledon 支線の Southfields 駅で、歩いて十数分ほど。多くの案内看板があるので、迷うことはないはず。テニスは、実際に会場で観た方が、テレビより迫力がある。違うのは、例えば球の動きを追うことができること。
6月22日 | 午後5時以降の入場券
整理券 | 列に並ぶと渡される
午後5時以降は14ポンド
ウィンブルドンの会場では、限られた数のセンター・第1・第2各コートの座席の当日券、そしてまた数千人分の入場券が販売される。入場券は初日から7日目まで20ポンド、しかし午後5時以降入場の場合は14ポンドと幾分か割り引かれる。この入場券で第3〜19コートの試合を観ることができる。センターと第1コートの試合開始時間は午後1時だが、その他のコートでは正午に試合が始まる。そして、通常、午後8時過ぎまで試合が続くので、午後5時に入場しても、3時間ほどは試合を観戦できることになる。なお、センター・第1・第2コートの指定席券は一日有効で、そのコートで行われる全試合を観ることができる。そのため、一試合、あるいは二試合が終了した時点で帰る人も結構いる。その場合、会場出口で券のバーコードが読み取られ、その席は再販される。この再販券を狙う人も多い。時間と根気さえあれば、少しはセンター・第1あるいは第2コートの試合が観られる。
この日の朝から昼過ぎまで、断続的に雨が降っていて、出足が鈍かろうと思い、午後5時少し前に会場へと向かった。まず、列の最後尾に行くと、番号の記された整理券が配られる。特に長く待つこともなく、整理券が確認され、空港のように荷物をX線検査機に通し、人は金属探知機を通り、仮設の橋を渡り、入場料を現金で払うと、すんなりと会場に入場できた。多くのコートで試合があり、あちらこちらでちょっとずつテニスを観ながら、最終的に第3コートで試合を観ることにした。第3コートは新しくできたコートで、前売りの席が多いが、一部の座席は入場券だけ必要。
第3コートで行われた試合:女子シングルス2回戦 Andrea Petković 対 Stéphanie Dubois
試合開始は午後7時を過ぎた頃。女子シングルスで、第11シードの Andrea Petković 選手と Stéphanie Dubois 選手の対決。名試合とは呼べないかもしれないが、第3セットにもつれ込んだ接戦で、充分に楽しめる試合だった。終了時間は午後9時を過ぎて、さすがに暗くなりつつあって、肌寒かった。
6月24日 | 午前5時前から並び第2コート
センター・コートの「当日」券を買うには、「前夜」から並ぶ必要がある。列のできる公園には、テントを張って待つ人々の姿がある。一度だけ前夜から並んだことがあるが、さすがに疲れた。待って、仮眠して、券を買って、入場して、試合開始までまた待って、そのあと数時間テニスを観たので、そのコートでの最終試合が終わる頃にはヘトヘトになっていた。もっとも、これはあまり体力に自信がないためかもしれないが。
公園で寝るよりは、家で数時間眠って、朝早く、とにかく地下鉄の始発前までに並ぶ作戦を取った。午前4時半過ぎに起きて、水やちょっとしたおやつなどを持って、テニス会場へ。明るくなりつつ頃で、もうテント組の他にも結構多くの人々が並んでいた。列の最後尾で整理券を貰った。番号は1455。
上:整理券 下:リストバンド
おそらく第1コートには、10分ほど遅過ぎたのだろう。それでも第2コートの券があった。49ポンドと安くはないが、一日中テニスを観戦することができれば、そう高いわけでもない。センター・第1・第2コートの当日券を買う権利を得た人々には、違う色のリストバンドが配られる。そしてセンター・第1・第2と3列になって検査場に向かう。そして券を買って、入場したら9時半を過ぎていた。試合開始まで2時間半。
第1シードで世界ランキング1位 Caroline Wozniacki
第1試合は女子シングルスで、現在世界ランキング1位で第1シードの Caroline Wozniacki 選手対 Virginie Razzano 選手。女子テニスには、現在、突出した数人の選手がいるというよりも、実力が伯仲している結構選手が多くいるような感じがする。際立って強い選手がいないのか、それとも全体のレベルが上がったのか、どちらだろうか。結果は Wozniacki 選手が順当に勝った。力強いし、サーブも手堅く、重要なポイントを勝ち取る勝負強さがあったが、もっと手強い相手であったら、どうだっただろうか。
第2試合は前日終了しなかった David Ferrer 選手と Ryan Harrison 選手の男子シングルス2回戦。第7シードの Ferrer 選手が苦戦していて、2セットを落として第4セットの途中から再開。この日の試合を観た限り Ferrer 選手が実力を発揮し、第4セットと最終セットを短時間の内に制して勝利。Ferrer 選手はどちらかというと技巧派の選手のような印象が強かった。
第3試合は女子シングルスで第2シードの Vera Igorevna Zvonareva (Вера Игоревна Звонарёва) 選手と Tsvetana Kirilova Pironkova (Цветана Кирилова Пиронкова) 選手の対戦。Zvonareva 選手は力強いが、サーブの精度やラリーでやや精彩に欠けていた。足の調子が万全ではないようで、試合中数回滑ったのも響いただろう。第1セット後、コートで治療を受けた。全体的に Pironkova 選手の方が強かく、勝利。特にリターンが良かったし、とにかく相手に攻撃の余地を与えないテニスだった。
左:タオルを被っている Vera Igorevna Zvonareva / Вера Игоревна Звонарёва 右:Tsvetana Kirilova Pironkova / Цветана Кирилова Пиронкова
第4試合は今大会の穴馬とも囁かれる Juan Martín del Potro 選手と Gilles Simon 選手という顔合わせ。背の高さを利用して速いサーブを繰り出す del Potro 選手は、ちょっと剽軽そうな面もあって、ついつい応援したくなるタイプ。さて、以前はインやアウトは線審の判断だけだったが、最近は審判補助システムが使用されている。選手は、線審や主審の判断に、言わば物言いをつけることができるようになった。この試合では、線審が del Potro 選手のリターンをアウトと判定して Simon 選手が一時は第1セット先取したが del Potro 選手が異議を申し立て、誤審と判明。この場合、ポイントのやり直しとなった。これが転換点となったのか、タイブレークとなり del Potro 選手が結局第1セットを奪った。
4時を過ぎて、だんだんと天気が悪くなり始めた。天気予報では夜に降雨の可能性があったが、何とか7時か8時くらいまでは持ちこたえると期待していたのだが、5時を過ぎ、空が暗くなり、雨が降り出し、この試合の第2セット途中で中断。ようやく面白くなってきたのに、とちょっと天気を恨んだ。このまま雨が降り続け、結局7時時点で屋根のあるセンター・コートを除き、全試合順延となった。
雨が降り出すと、芝が濡れないようにカバーをかける。コートの片方から数人で一斉に引く。手際よさに拍手が起こることも。