この項は、厳密に研究したことではなく、史料を読んでの「感想」といったところ。
近世ドイツ史の史料を読んでいて気になることの一つに、fremd と ausländisch の使い分けがある。英語でも stranger と foreigner と alien で自分と他者を区別する。そして他人の度合い、いわば「他人度」も表している。「よそ者」あるいは「異邦人」と訳せるだろうか、日本語でもやはりニュアンスに違いがあるように思える。
同じ領土の他の町や村のよそ者あるいは物は fremd と呼び、領土外からの人と物を ausländisch と区別しているようだ。もちろん、問題となるのが領土の境界線。つまり同じ「領土」に住んでいるという意識はあるものの、自分とは違う共同体の一員ということになるだろうか。何をもって「領土」あるいは「邦」となるのか、近世ドイツ史の大きな問題の一つだ。