ラジオ番組 “In Our Time: Calvinism”

2010年3月23日

ちょっと時間が空いたときに BBC Radio 4 の番組を聴くことがある。通常はコメディーなどをインターネット上で再放送する機能を利用しているが、今日は眠れず数週間前に放送された In Our Time を聴いた。この In Our Time という番組は司会者の Melvyn Bragg 氏が専門家を呼び、あるテーマを紹介し議論するもの。ヨーロッパ近世史関連の問題もときとして題目となる。

この回のテーマは『カルヴァン』でジャン・カルヴァンとカルヴァン派について、英国学界で著名な3氏が意見を述べる構成。カルヴァンの思想を45分で語ることは不可能だが、いくつかの重点を選び、彼とカルヴァン派(改革派教会)の思想の根本にあるものについて踏み込んでいる。

カルヴァンは、叙階されたのちカトリック教会内から離れたルターやツヴィングリなど初期の宗教改革者とは違う経歴の持ち主。そのため、彼は「聖職者」というよりも「教師」と呼んだ方がよいかもしれないという意見もある。法学を勉強し、ラテン・ギリシャ・ヘブライ語を解したルネサンス人という一面も持ち、また母国フランスから逃れ、異国ジュネーヴに長年居を構えた。

他の神学者や哲学者同様にアウグスティヌスの思想を受けたカルヴァン。有名なのは、救われる者と滅せられる者が予め神によって決められているという「二重予定説」で、この思想についても分かり易く説明されている。

この他にもなぜカルヴァン派がヨーロッパと北米で広まり、個人の宗教体験と結びついたか、そして書と真実を重視したカルヴァン派と啓蒙主義の関連などについても意見が出ている。

専門家にとっては物足りないかもしれないが、ラジオ番組としてはよくできていて、新たな接点をみつけるヒントになる。そしてヨーロッパ近世史に興味があって英語の勉強がしたい人にはちょうど良い。